内容説明
人間の心理現象が最高度に個別的であるからこそ、人間の心理科学は一般的知識へと到達しうる―「記号」をカギ概念として、人間が作り出しながら人間を方向づける文化と、文化的な世界を生きることによって文化を変容していく人間のダイナミックな関係性をまるごととらえる、新しい文化心理学の誕生。
目次
第1章 文化へのアプローチ―文化心理学の記号的基礎
第2章 社会とコミュニティ―社会的網目の相互依存性
第3章 対立を作り出す―対話的自己と、意味形成における二重性
第4章 最小のコミュニティとその組織―血縁集団、家族、結婚形態
第5章 文化の全体は移動のただなかにある―記号的宇宙の中の境界域の維持と横断
第6章 文化的プロセスとしての思考
第7章 行為における記号フィールド―情緒による内化/外化プロセスのガイダンス
第8章 文化心理学のための方法論―包括体系的、質的、個性記述的
結論 “心と社会”の中の文化
著者等紹介
サトウタツヤ[サトウタツヤ]
佐藤達哉。東京都立大学大学院博士課程中退。博士(文学、東北大学)。現在、立命館大学文学部教授/研究部長。主な研究領域は、文化心理学、心理学史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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plum
4
CULTURE IN MINDS AND SOCIETIES-Foundation of Cultural Psychology-,実験中心的な心理学では,生活や心に根ざした文化は理解できるものではない。文化心理学は包括体系的systemicな手法を用いる。たとえば「社会」は機能的抽象と記号的媒介の作用がある。アブダクション推論(規則と事例の間の双方向の関係を基礎とし,演繹側と帰納側が相互に浸透し,新しい考えを生み出す。→経験の流れの情緒調整)。各文化の情緒フィールドは,内化と外化によって構築される。2016/05/07