内容説明
フィールド研究は観察から―だが観察は実に奥が深く難しいそれを他者と共有できるよう書くのはさらに難しい。「“見た”ことを“書く”」とはどういうことかを観察の基本に立ち返って考えるために。
目次
第1章 観察とは何か
第2章 観察と視点
第3章 観察とその対象(モノや空間)
第4章 コミュニケートしている人々の観察
第5章 目の前で生成する子どもたちの遊びの観察
第6章 観察記録文(フィールドノーツ)は何を記録しているのか
第7章 観察とエピソード記憶
終章 自分のための「フィールドノーツ」から他者に向けた「文章」へ
著者等紹介
麻生武[アサオタケシ]
1949年生まれる。1972年京都大学理学部卒業(主として数学を修める)。1974年京都大学教育学部卒業(心理学専攻)。1982年大阪市立大学大学院文学研究科後期博士課程単位取得満期退学。現在、奈良女子大学大学院人間文化研究科教授。博士(文学)。日本発達心理学会理事長(2003.1‐2005.3)、『質的心理学研究』編集委員長(2007.4‐2010.3)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ポカホンタス
3
時間つぶしに立ち寄った書店で発見。類書はいくつかあるが、観察するとは何か、それを書くとはどういうことか、記憶するとはどういうことか、というところまで掘り下げつつ、大学院生向きにわかりやすく、実例をたくさんあげながら書かれていて大いに参考になった。とりわけ科学的観察と現象的観察という根本的区別についての考察は興味深かった。2016/04/24
へのへのもへじ
1
知性の誤用。2010/12/20
mutou_tsusato
1
研究資料として図書館で借りる。冒頭の定義篇は読みづらいのだが、大学の「基礎演習」での事例や「羅生門問題」の章は非常に興味深かった。観察し表現することに関わるズレの問題と「現象的観察」は、当たり前のようでいて実に重要な指摘であると思う。タイトルから、赤瀬川原平のことが出てくると思ったが、やはり出ていた。2011/03/25
くま
0
自分が「見た」ことを「書く」ことへの不確かさを抱えながら見て書き続けていく。2023/07/12