出版社内容情報
教育心理学のテキストはいろいろと出版されていますが、この本の特色は、心理学の理論を現実の授業実践にむすびつけて、それらが教室で実際にどのように授業を支えてくれるかを、たいへんわかりやすく述べている点です。特別の教育ニーズを必要とする子どもの問題、学力テストと教育評価、ジェンダーや多文化の問題、授業妨害行動など、現在日本の教育現場で大きな問題となっているトピックも取り上げられています。教師を目指す学生達ばかりでなく、現場の教師の方々にも役立つ一冊です。
この章では、思考、あるいは心理学者のいう認知が、時間と共にどのように発達し、変化していくのかについての研究を概観する。すなわち、認知発達に関する理論というのは、われわれがどのように思考や推理を学んでいくかという問題に取り組んでいるのである。この章では、人がどのように学習するだけでなく、特に発達段階や成熟によるレディネス(準備性)などの概念についても見ていくことにする。こういう研究は、しわ深い老教授が埃の積もった図書館に閉じこもってせっせと励んでいる味気ない学問のように思えるかもしれないが、実生活、とりわけ授業の場と、大いに関わっている。理論家が学習の過程をどのように説明するかが、ある程度は授業の方法を規定するからである。(「第1章 学習とは何だろう--はじめに」より)
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【関連書籍】
『 質的心理学研究 第6号/養育・保育・教育の実践 』 (定価2940円 2007)
『 人を伸ばす力 』 デシ、フラスト著 (定価2520円 1999)
『 間違いだらけの学習論 』 西林克彦著 (定価1890円 1994)
【新 刊】
『 子どもたちのアイデンティティー・ポリティックス 』 森田京子著 (定価3675円 8月刊行予定)
目次
第1章 学習とは何だろう―認知的アプローチ
第2章 学習とは何だろう―行動主義アプローチとヒューマニスティック・アプローチ
第3章 教育評価
第4章 特別な教育的ニーズ
第5章 文化とジェンダーの多様性
第6章 学習スタイルと教授スタイル
第7章 動機づけ
第8章 学校での破壊的行動
第9章 教育環境のデザインとレイアウト
付章 キー・スタディー
著者等紹介
ベンサム,スーザン[ベンサム,スーザン][Bentham,Susan]
イギリスの心理学カリキュラム単位認定資格試験(AQA)試験官
秋田喜代美[アキタキヨミ]
大阪府生まれ。東京大学文学部、教育学部卒業。東京大学大学院教育学研究科博士課程修了。博士(教育学)。専門は、発達心理学、学校心理学。立教大学文学部助教授を経て、東京大学大学院教育学研究科教授。日本学術会議第20期会員(心理学・教育学)
中島由恵[ナカジマヨシエ]
千葉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。東京大学大学院教育学研究科博士課程休学中。オールラウンドの翻訳家をめざしている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。