出版社内容情報
「利他」「支援」がこれからのキーワードです。各人による最大利益の追求が最大多数の最大幸福につながるという近代経済倫理の果てに起きたのが、地球規模の環境破壊であり、テロと戦争の循環ではないでしょうか。そこから、人も企業も国家も、利他の関係、互いが互いを支援し合う関係を築かなければ未来はない、という認識が生まれているのです。ではこの利他・支援を理念倒れに終わらぬよう、どう理論化できるか、それによって個人、組織、国家はどのように変わるのか、この魅力ある課題に、経済社会の変動や生産現場の実体験に基づいた意欲作です。
利他的行為の代表的な例といえば、支援である。支援とは、互いに関係をもつ者同士が、その関係性を変化させながら行為する中で、協力したり協働したりして、相手の利益となるよう、助ける行動様式だからである。21世紀には、このような支援行為をお互いに普通にとりあうようになっていかざるをえないとしたらどうだろう。これまでのように、他者から奪ったり、他者を管理したりしても、自己の利益を最大化できない世界に、私たちは入りつつあるのだ。自己の利益を最大化するには、他者を支援し、他者をして自身を支援してもらうしかないとしたら、自身の行動の舵取りをどのようにすればよいのかという問いには本書は光を当て、一緒に科学したいのである。(「まえがき」より)
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【関連書籍】
『 資本主義黒書 』 R・クルツ著 (上巻6930円 下巻4620円 2007.5-7月)
『 ホスピタリティ原論 』 山本哲士著 (定価5000円 2006)
『 リスクマネジメントの心理学 』 岡本浩一ほか編著 (定価3675円 2003)
内容説明
人も、企業も、国家も、もはや事故の利益を追求するだけで最大の利益をあげることはできない。
目次
序章 もう一つ先の合理性へ
第1章 管理の終わり
第2章 支援のはじまり
第3章 拡大する支援
第4章 支援の本質
終章 新時代へのメッセージ
著者等紹介
舘岡康雄[タテオカヤスオ]
1953年、東京都に生まれる。東京大学工学部応用化学科を卒業。日産自動車中央研究所材料研究所入社、研究開発部門、生産技術部門、購買部門、品質保証部門を経て、現在人事部門にて、NMW(ニッサンマネジメントウェイ)の確立と伝承に従事。1996年より、プロセスパラダイムを提唱し、支援に関する講演活動を開始した。2005年に、賛同する人々によって支援研究会が設立され、現在活動中。博士(学術)。研究分野は複雑系、パラダイムシフト、支援。論文に「エージェントの利他性がもたらす経済合理性」2001年(経営情報学会2002年度論文賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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