なぜ悪人を殺してはいけないのか―反時代的考察

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なぜ悪人を殺してはいけないのか―反時代的考察

  • 小谷野 敦【著】
  • 価格 ¥2,640(本体¥2,400)
  • 新曜社(2006/03発売)
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  • サイズ B6判/ページ数 276p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784788509856
  • NDC分類 304
  • Cコード C1036

出版社内容情報

 死刑は野蛮だ、未だ死刑を残しているような国は文明国とは言えない、というような「人道主義的」風潮があります。しかし、世の中には凶悪犯がいるのも事実で、その被害者や家族にとっては、極刑以外に救われない。問題は文明か野蛮かではなく、単に文化の違いにすぎないのかもしれません。また、天皇制的民主主義国家・日本において「共和制への夢」は生き延びうるかを、思想・文学・サブカルチャーのなかに探ります。死刑存置論と天皇制批判、この一見相反する考えが共存するところに著者の「反時代性」があるといえましょう。
 
 私は何も怖ろしいことを言っているのではない。廃止論者がしばしば哀れみを誘おうとして持ち出す、改悛の情が明らかな死刑囚に対して、恩赦、特赦を下す制度を整えるというのなら理解する。しかしそういう死刑囚がいるから死刑を廃止しろというのは、論理の飛躍である。世に、まったく改悛の情を見せない凶悪犯罪者がいる以上、死刑制度は残すべきである。死刑廃止論者がいくら同情に値する死刑囚の例をあげても、それは死刑にするほかない者たちの存在を抹消することにはならないのである。おもしろいことに、死刑廃止論者が描いたノンフィクションや小説の中には、まるでその犯罪者に対して同情心の起こらないものがある。佐木隆三 の『復讐するは我にあり』や、丸山有岐子の『逆恨みの人生』で、それはそれで、あとで触れるユゴーのように読者をごまかそうとするよりは立派な態度である。加賀乙彦の『宣告』は名作とされているが、見沢知廉のように自ら殺人を犯しておいて、刑務所内での待遇に不満を並べて文学作品として通用させているのは、図々しいとしか思えない。見沢が二〇〇五年に自殺したのを、私は悔い改めない殺人者に相応しい最期だと思った。(「なぜ悪人を殺してはいけないのか」より)

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 【関連書籍】
 『 資本主義黒書 』 R・クルツ著 (上6930円 下巻4620円 2007.5-7月)
 『 マス・コミュニケーション理論 』 バラン、デイビス著 (上巻3780円 下巻3465円 2007)
 『 思考のトポス 』 中村元著 (定価2625円 2006)

内容説明

死刑存置論から天皇制批判、オリエンタリズム概念批判まで、いかなる権威にも大勢にもなびかない著者の思考がさえわたる社会的エッセイ群。

目次

第1部 なぜ悪人を殺してはいけないのか(なぜ悪人を殺してはいけないのか―復讐論)
第2部 共和制への意思(戦後転向論;ファンタジーは君主制の夢を見るか?;マッカーサーの後継者たち ほか)
第3部 反時代的考察(「レザノフ復権」への疑問;忌まわしい古典『葉隠』;「オリエンタリズム」概念の功過―『トゥーランドット』と『逝きし世の面影』 ほか)

著者等紹介

小谷野敦[コヤノアツシ]
1962年、茨城県生まれ。東京大学文学部英文科卒。同大学院比較文学比較文化博士課程修了。学術博士(超域文化科学)。1990~92年、カナダのブリティッシュ・コロンビア大学に留学。大阪大学言語文化部講師・助教授を経て、国際日本文化研究センター客員助教授、東京大学非常勤講師。文藝批評、歴史、恋愛論などの広い分野で評論活動を展開(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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脳疣沼

3
なぜ悪人を殺してはいけないのか、その理由が明かされるかと思ったら、殺していい、という結論を導いていたので驚いた。うん、まあ死刑制度を議論するとめんどくさいんだなと思った。論理などどうでもいいとは言わないが(学者が論理破綻していたら困るが)、一般庶民はたとえちょっとぐらい筋が通らなくとも生きていけるのである。読み終わったあとはそう思いました。2014/09/10

Lieu

1
死刑存置論、共和制論、文化相対主義批判。反時代的考察という副題が的を射ている。非常に明快な論理である。論理的ではあるが、思弁的な哲学者の論証の方法とは違い、歴史的に元を正すことに重きを置いている印象である。私はこういう論証方法の方に説得力を感じる。2021/03/02

keepfine

1
ボナパルティズム、コミンテルンのテーゼ(1972)、ノーブルサベージ(高貴なる野蛮人)といった概念を知れたのでよかった(小学生並感想)2017/05/31

bestkkk

0
バラエティ評論集。最後の留学記が泣ける。2009/01/22

裏竹秋

0
諡号「光」の謎や田中克彦批判などおもしろかった。2021/09/26

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