コモンズをささえるしくみ―レジティマシーの環境社会学

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  • サイズ B6判/ページ数 254,/高さ 19cm
  • 商品コード 9784788509832
  • NDC分類 519
  • Cコード C1036

出版社内容情報

 コモンズはもともとイギリスの共有地をさす語でしたが、いまでは「共有財産としての自然や建造物」を意味する世界共通のキーワードになっています。いったい誰がコモンズをささえてきたのでしょうか? 本書は、各地の公園、水辺、開発、空港などにかかわる、地元有志・行政・運動家など利害関心の異なる複数のアクターの活躍を、豊富な写真図版をもちいてドラマのごとく活写しています。「公共性」=形式民主主義に代えて「レジティマシー」(正統性)=歴史的・社会的なしくみに注目することで、環境にとどまらず、まちづくりや市民参加へのヒントに富んでいます。

 ここでいうレジティマシー(legitimacy 正統性/正当性)とは、ある環境について、誰がどんな価値のもとに、あるいはどんなしくみのもとに、かかわり、管理していくか、ということについて社会的認知・承認がなされた状態(あるいは、認知・承認の様態)を指している。ある集団がある自然環境に対して比較的強い権利をもっているとして、その権利のレジティマシーは、どこからどのようにして生まれたのか。「地元の人が権利をもっている」と主張するとして、その主張のレジティマシーは、どこから生まれてくるのか。(本文「序」より)

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 【関連書籍】
 『 里川の可能性 利水・治水・守水を共有する 』 鳥越皓之ほか編 (定価2310円 2006)
 『 コモンズの社会学 』 井上真、宮内泰介編 (定価2520円 2001)
 『 環境的公正を求めて 』 戸田清著 (定価3675円 1994)

内容説明

所有、公共性などの近代的概念ではとらえきれない、コモンズの利用と承認のしくみとは?レジティマシー(正統性)獲得のダイナミズムを理論化。

目次

レジティマシーの社会学へ―コモンズにおける承認のしくみ
1 地域性 漁業権の正統性とその変化―コモンズの管理としての漁撈
2 歴史性 「歴史」をつくる人びと―異質性社会における正当性の構築
3 シナリオ力 写されたシナリオの正統性と更新―写し巡礼地の生きのび方
4 発言力 土地への発言力―草原の利用をめぐる合意と了解のしくみ
5 共同性・創造性 共同性を喚起する力―自然保全の正当性と公共性の創出
6 感性 音環境の共有―“あたりまえ”というレジティマシー
7 当事者性 当事者はだれか?―ナマコから考える資源管理
8 環境正義 環境正義と公共性―「不法占拠」地域におけるマイノリティ権利の制度化
9 公と私 墓地山開発と公共性―公と私の再定義にむけて

著者等紹介

宮内泰介[ミヤウチタイスケ]
1961年生まれ。北海道大学大学院文学研究科助教授。専攻、環境社会学・開発社会学・メラネシア研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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