出版社内容情報
外国語を習得するとき、なぜ、ある部分はやさしく、別の部分は難しいか。誤りはどういうところで起き、一体どのようなメカニズムが働いているのか。第二言語習得研究は、外国語教育の隆盛とともに近年急速に注目されつつある分野です。本書は、理論的背景となる生成文法を簡潔に説明しつつ、第二言語習得研究の基本分野である「照応表現」「wh移動」「主語の義務性」に関する代表的な研究を紹介します。
第二言語研究では、外国語なまりといわれる音の特徴から外国語話者に見られる丁寧さに欠ける話し方などの談話の特徴まで、さまざまな領域が研究されてきた。そのうち、本書では、「文法の習得」に焦点を当てて、言語学、とりわけ、生成文法に基づく第二言語習得研究を見ていこう。さらに、「文法」の中でも、話題を「照応表現 himself/herselfの解釈」「wh句の移動上の制約」「義務的な文主語の使用」という3つの分野に絞っていくことにする。日本語習得話者の英語習得を中心に、これらの分野がどのように研究されてきたか、まだ明らかになっていない部分はどこか、また、これらの研究がなぜ面白いのかを見ていきたい。(「まえがき」より)
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【関連書籍】
『 言語と思考 』 N・ランド著 (定価1890円 2006.06)
『 日本語教育のための心理学 』 海保博之、柏崎秀子編著 (定価2520円 2002)
『 外国語はなぜなかなか身につかないか 』 ベアリストク、ハクタ著 (定価2940円 2000)
【新 刊】
『 国境を越えて [本文篇]改訂版 』 山本冨美子編著 (定価2625円 2007.5月)音声CD付
『 国境を越えて [タスク編]』 山本冨美子編著 (定価2310円 2007.5月)
内容説明
外国語の、どこが、なぜ難しいのか。理論的背景となる生成文法を簡潔に説明しつつ、第二言語習得研究の基本分野に関する代表的な研究を紹介。理論のこれまでの発展と今後の課題を展望、実験デザインや研究データへの批評眼も培われる。
目次
第1章 言語習得と普遍文法(母語習得;UG―原理とパラメータ ほか)
第2章 文法の知識とは何か(文法の種類;言語のモジュール性 ほか)
第3章 照応表現の解釈(理論的背景;統率束縛理論以前の研究 ほか)
第4章 wh移動の制約(理論的背景1;下接の条件と母語の影響1(Schachter,1989) ほか)
第5章 文主語の義務性(理論的背景1;pro脱落パラメータに基づく研究(White,1986) ほか)
著者等紹介
若林茂則[ワカバヤシシゲノリ]
1962年三重県一志町(現、津市一志町)生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、三重県立高校教諭を経て、エセックス大学修士(M.A.)、ケンブリッジ大学修士(M.Phil.)、ケンブリッジ大学博士(Ph.D.)修了。中央大学文学部教授
白畑知彦[シラハタトモヒコ]
1957年静岡県森町生まれ。早稲田大学第一文学部卒業、青山学院大学文学研究科(修士)、アリゾナ大学大学院(M.A.)修了。大阪大学文学研究科より博士号。静岡大学教育学部教授
坂内昌徳[バンナイマサノリ]
1966年福島県会津高田町(現、会津美里町)生まれ。岩手大学人文社会科学部を卒業後、福島県立高校教諭を経て、ダーラム大学大学院(M.A.)修了。福島工業高等専門学校助教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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