内容説明
時間は物語のかたちで分節されるに応じて人間的な時間となり、物語は時間的実存の条件となる時にその完全な意味に到達する…。カントやハイデガーなどの時間論に胚胎するアポリアを、“物語的自己同一性”の概念によって豊饒な解決に導く。
目次
第1篇 時間性のアポリア論(魂の時間と世界の時間―アウグスティヌスとアリストテレスの論争;直観的時間か不可視の時間か―フッサール対カント;時間性、歴史性、時間内部性―ハイデガーと“通俗的”時間概念)
第2篇 物語の詩学―歴史・フィクション・時間(生きられる時間と普遍的時間のあいだ―歴史的時間;フィクションと、時間についての想像的変化;歴史的過去の実在性;テクストの世界と読者の世界;歴史とフィクションの交叉;ヘーゲルを断念する;歴史意識の解釈学へむけて)
著者等紹介
リクール,ポール[リクール,ポール][Ricoeur,Paul]
1913年南仏ヴァランスに生まれる。第二次世界大戦に動員され、1945年まで5年間捕虜収容所生活を送り、その間にフッサール『イデーン1』を仏訳。戦後ストラスブール大学、パリ大学哲学教授を経て、パリ大学ナンテール分校に移る。1970年より20年間シカゴ大学神学部教授を兼任した。現代フランスの解釈学的現象学の代表的哲学者
久米博[クメヒロシ]
1932年生まれ。東京大学文学部卒業。東京都立大学大学院人文研究科博士課程満期退学。1967年ストラスブール大学プロテスタント神学部大学院修了。同大学宗教学博士。桐朋学園大学教授、立正大学教授を経て、現在、立正大学講師
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