時間と物語〈1〉物語と時間性の循環/歴史と物語 (新装版)

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  • サイズ A5判/ページ数 412p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784788509146
  • NDC分類 201.1
  • Cコード C3010

出版社内容情報

著者は物語を歴史物語とフィクション物語に二分する。第一部で基本的なテーゼを提示したあと,第二部ではアナール学派などの歴史理論にこのテーゼを適用する。

内容説明

「時間は物語の様式で分節されるのに応じて人間的時間になる。そして物語は時間的存在の条件になるときに、その完全な意味に到達する」。このテーゼの豊かな含蓄を、アウグスティヌスの時間論とアリストテレスのミメーシス論を媒介に汲み尽くした著者畢生の成果。

目次

第1部 物語と時間性の循環(時間経験のアポリア―アウグスティヌス著『告白』第十一巻;筋立て―アリストテレス『詩学』のひとつの読解;時間と物語―三重のミメーシス)
第2部 歴史と物語(物語の衰退;物語のための弁護;歴史の志向性)

著者等紹介

リクール,ポール[リクール,ポール][Ricoeur,Paul]
1913年南仏ヴァランスに生まれる。第二次世界大戦に動員され、1945年まで5年間捕虜収容所生活を送り、その間にフッサール『イデーン1』を仏訳。戦後ストラスブール大学、パリ大学哲学教授を経て、パリ大学ナンテール分校に移る。1970年より20年間シカゴ大学神学部教授を兼任した。現代フランスの解釈学的現象学の代表的哲学者

久米博[クメヒロシ]
1932年生まれ。東京大学文学部卒業。東京都立大学大学院人文研究科博士課程満期退学。1967年ストラスブール大学プロテスタント神学部大学院修了。同大学宗教学博士。桐朋学園大学教授、立正大学教授を経て、現在、立正大学講師
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

singoito2

8
全体で4部からなる著作のうち、第1部「物語と時間性の循環」と第2部「歴史と物語」を収録。第1部はアウグスティヌスの時間論とアリストテレスの作劇論から物語による時間の「統合形象化」を概説する。第2部は、同時代のアナル派やアングロサクソンの歴史学を振り返りながら歴史語りと物語の関係を考察する。2023/03/11

田舎暮らしの渡り鳥

4
アリストテレス、カントの「外的時間」とアウグティヌス、フッサールなどの「内的時間」を弁証法的に思考していく。要するに「物語的自己同一性」とは、「物語」でないものを「物語」として信じさらに「物語性」を消し去るものなのだろう。2019/12/10

donky

2
残念ながら、巻Ⅰも精読できませんでした。三重のミメーシスの概略はイメージできたものの、統合形象化行為にある物語の《筋》の発生過程が判然としない。詩が直観領域であること、そこから物語る必要が生じたこと、さらには物語の話者主体が生まれる…そこまではわかる気がします。しかし《筋》を〈異質なものを総合する〉において、時間的性格が付与される、との概枠が理解できません。図書館本ゆえの時間不足もありますが、アリストテレスの詩学などの基礎教養が足りません。改めて読んでみたい。2015/06/23

のほほんなかえるさん

2
アウグスティヌスの「告白」とアリストテレスの「詩学」を対比させたところからはじまるこの探求は実に面白いものを見せてくれそうだ。人間が捉えられる時間概念は結局のところミメーシス(模倣)化された実体概念を操作したものにすぎない。と定義。第一の例証:歴史では、真実性を求めようとするとたちあわられる時間の概念把握への限界が(あたかもウィトゲンシュタインの論考のような限界が)たち現れる。そこに2巻以降フィクションとしての物語がどのようにかかわってくるのか楽しみだ。2011/01/14

 

0
再読。アウグスティヌスの「時間」概念をアリストテレスの『詩学』の筋(ミュトス)とミメーシスを対比/接合させる。それと同時に、アナール学派に対してダントンやホワイトの物語理論の優位性を認めて、「統合形象化」に歴史と物語の近接性を示す(差異は第4章で論じられる)早い話が、リクールはそれぞれ別分野と思われているものに近接性を認めて接合してゆくのが上手い。大陸哲学と分析哲学の融合みたいなのをかなり早い時期にやっている。 2023/03/20

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