グローカリゼーションの人類学―国際文化・開発・移民

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  • サイズ B6判/ページ数 206p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784788508798
  • NDC分類 389
  • Cコード C1039

出版社内容情報

 圧倒的な力で世界を覆いつつあるグローバル化に対してわれわれは手をこまねいているしかないのでしょうか。本書は、地域社会がいかにグローバルな文化を変容させて(ローカル化)、自分たちの文化を創り上げているかを、マクドナルド、開発、移民などを題材に、グローカリゼーション、翻訳的適応などの魅力的な概念装置で読み解いた本です。地球規模のグローバル化によって、かつて人類学の対象であった「未開」社会は滅びたといわれます。しかし、現代社会を対象としたアクチュアルな学問としての人類学には豊かな問題領域と可能性が生まれていることを、みずからのフィールドワークに即して明らかにします。

 より強力な文化が到来しても、その文化は現地の文化に読み換えられる。その結果ローカライズされた文化が、また別の文化と接触することによって、さらなるローカリゼーションの過程を生じる。あるいは、逆に元の文化に影響を与え返すこともある。ファーストフード・チェーンはなにも、アメリカのハンバーガー・チェーンだけではない。今後、すしやうどん、緑茶が日本発のファーストフードとしてチェーン化し、グローバライズされるのは時間の問題であろう。そして、それもまた各国、各社会でローカライズされたスタイルに変形されながら受容されてゆくのである。世界規模のこうした「文化の接合の弁証法」の複層的で相互的なやりとりこそが、グローバリゼーションの時代の文化と社会の変化のありようを規程する。決してグローバリゼーションすなわちアメリカナイゼーションにはならないのである。(「第一章 グローカル化するマクドナルド」より)

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 【関連書籍】
 『 増訂版 フィールドワーク 』 佐藤郁哉著 (定価2310円 2006)
 『 文化的営みとしての発達 』 B・ロゴフ著 (定価5985円 2006)
 『 現実の社会的構成 』 バーガー、ルックマン著 (定価3045円 2003)

 【新 刊】
 『 ワードマップ エスノメソドロジー 』 前田泰樹ほか編 (定価2520円 8月刊行予定)

内容説明

マクドナルド、文明の衝突、開発、移民などを題材に、地域社会がグローバリゼーションをいかに受容し、自分たちの文化を変容・創造してきたかを「翻訳的適応」という視点からフィールドワークする。

目次

1 国際文化論と人類学(グローカル化するマクドナルド;文化と文明の連続性)
2 文化と開発(システムの変容;文化の構築)
3 移民と多文化主義(国境を越える共同体―ミクロネシア連邦共和国チューク人移民の民族学;多文化主義と移民―オーストラリアにおけるベトナム系移民の民族誌)

著者等紹介

前川啓治[マエガワケイジ]
1957年福井県生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科博士課程単位取得退学、シドニー大学大学院博士課程修了。博士。筑波大学国際関係学類専任講師、ハーヴァード大学客員研究員を経て、現在、筑波大学国際総合学類助教授。専攻は、経済・経営人類学、文化変化論、オセアニア研究など
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ふにゃ

2
たくさんの事例に基づいて議論が組み立てられている。「翻訳的適応」がキーワード。その用語自体はとても良いと思う。ただ、同じようなことはいろいろ言われているはずで、それ以外の言葉とどう違うのだろうか。かなしいかな、理論的な部分はちんぷんかんぷん。用語、概念をきちんと押さえながら読んでいかなければならないなあ。そのうち再チャレンジしたい。2013/06/08

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