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出版社内容情報
今日「伝統」の概念は、文化を論じる際にはほとんど不可欠な概念として、否定的・肯定的立場のいずれを問わず頻用されている。とくにわが国日本の文化を論じる際には、日本人のみならず他国論者からも、日本文化の「伝統的」側面がかならずといってよいほど問題とされる。
しかし、日本の文化一般を論じる際に、その「伝統」あるいは「伝統的側面」がとくに問題とされるようになったのはそう古くからのことではない。とりわけ「伝統」という言葉が今日のように、日本の「国の伝統」、あるいは「民族の伝統」という意味で使われるようになったのは、実に一九三〇年代前半になってからで、いわゆる日本主義の台頭と期を一にしている。…中略…
本書は、日本文化に関して今日いわれているような「伝統」概念がいかにして成立してきたか、またそれが第二次対戦前・戦中・戦後、そして二十世紀の最終局面にさしかかった今日に至るまで、日本においてどのように運用されてきたかを、「日本美術における伝統」に焦点を絞りつつ論証し、その劇的な変容の跡をたどろうとする試みである。(本文より)
・「「伝統」なる言葉をめぐるそうした言い回しはいつごろから使われ始めたのだろうか。…中略…美術史家、陶芸家、造形作家らが対談、鼎談を重ね、この問題に迫った。」(2004.1/4 朝日新聞 栗田亘氏)
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【関連書籍】
『 季節の美学 身体/衣服/季節 』 塚本瑞代著 (定価3360円 2006)
『 万葉集の発明 』 品田悦一著 (定価3360円 2001)
『 創造された古典 』 ハルオ・シラネ、鈴木登美編 (定価4200円 1999)
内容説明
「伝統ある日本文化」とか「日本美の伝統」などの言説はいつ頃から言われはじめたか。桃山・江戸時代の陶芸、襟絵から大正・昭和期の民芸運動などにわたる「日本美」の検証をとおして、「伝統」概念がナショナリズム、軍国主義とともに成立し、戦後も生き延びてきたことを明らかにする。
目次
第1部 伝統―その記憶(桃山美術の成立;聖から俗へ ほか)
第2部 伝統―その転生(桃山陶芸の復活)
INTERLUDE 二つの講演(川端康成―一九五二年;松谷武判氏をめぐって―人と作品)
第3部 伝統―その現在(「物質/もの」の誕生;「伝統のやきもの」とオブジェ ほか)
著者等紹介
辻成史[ツジシゲブミ]
大手前大学教授。1933年生まれ。東京芸術大学美術学部芸術学科卒業。立教大学大学院文学研究科(キリスト教学科)修士課程修了。プリンストン大学大学院美術考古学科博士課程修了(Doctor of Philosophy)。大阪大学文学部名誉教授。金沢美術工芸大学大学院特任教授を経て、現職
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