出版社内容情報
ここ数年来、電子メディアの爆発的増殖によって「IT革命」が起こりつつあり、現実のリアリティが根本的に変容しつつある、という議論が蔓延してきた。一般の人にも、何となくそういう意識にとらわれ、過度の期待や不安を抱いている向きも多い。他方では、このところ、日本語力や身体感覚の復権を唱える議論も盛んになってきている。本書は、「IT革命」「サイバースペース」「ヴァーチャル・リアリティ」といわれるものによってリアリティは本当に根本的に変容しつつあるのか、という問題意識から出発している。(本文より)
-------------------------------------------------------------------
【関連書籍】
『 嘘を生きる人 妄想を生きる人 』 武野俊弥著 (定価2310円 2005)
『 〈私〉という謎 』 渡辺恒夫・高石恭子編著 (定価2625円 2004)
『 存在論的メディア論 』 和田伸一郎著 (定価3360円 2003)
【新 刊】
『 老愚者考 』 クレイグ著/山中康裕監訳 (定価2205円 2007.6月)
内容説明
本書は、「IT革命」「サイバースペース」「ヴァーチャル・リアリティ」と言われるものによってリアリティは本当に根本的に変容しつつあるのか、という問題意識から出発している。そのような問題意識のもとに、甲南大学学術フロンティア共同研究プロジェクトの一環として、数回の研究会を経て、二〇〇一年七月、哲学、美学、臨床心理学、アートなどの異なった分野のパネリストにお集まりいただき、「リアリティの変容?―電子メディア/アート/セラピー」というシンポジウムを甲南大学で開催した。本書は、精神医学や消費者心理学などの新たな執筆メンバーにも加わっていただき、そのシンポジウムを更に発展させたものである。
目次
第1部 身体と空間(生成する空間;音のリアリティ;ハイデガーの「不安という根本情調」―動物性と精神性の「間」;電脳時代のグロテスク・リアリティ;在と不在の中間領域としてのリアリティ)
第2部 メディアとイメージ(イメージと身体―私がメディアについて考えている二、三の事柄;同調のメディア―電脳遊戯の現在;情報機器と臨床心理学―インフォメーションからイマジネーションへ;消費のリアリティ)
著者等紹介
斧谷弥守一[ヨキタニヤスイチ]
1945年生。京都大学大学院文学研究科修士課程修了。甲南大学文学部人間科学科教授。専門は言語論、文学論
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。