触覚の世界―実験現象学の地平

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  • サイズ A5判/ページ数 231p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784788508330
  • NDC分類 141.24
  • Cコード C3011

出版社内容情報

 心理学は長いあいだ数量化できない側面は研究対象からはずしていました。今ようやく、生きた人間の姿を捉えるために、もっと人間の質的な側面も積極的に研究しようという動きが、大きなうねりとなって広がっています。著者カッツは、こういう動きの先覚者で、本書には、主として自らの手を用いて、皮膚の感覚=触覚がどのように意識に立ち現れるかが詳しく述べられています。精妙な触覚の世界を堪能させてくれるだけでなく、質的でしかも実験的な心理学の新しい道を指し示したお手本としても、改めてその価値が見直されています。

 心理学のテキストでは、たいてい、いまだに感覚のレベルを上位と下位とに分け、視覚と聴覚を触覚よりも高い位置につけている。だが、わたしの研究を通して、皮膚感覚をこのように低い価値しかないものとして位置づけること -- そのせいで、心理学者までもが皮膚感覚を無視するようになってしまった -- が、けっして正当化されるものではないことを示したい。触覚は、現象学的な側面が乏しいとか、二番手の知覚的価値しかないというふうに思われがちだが、そんなことはない。(本文より)

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 【関連書籍】
 『 記憶・思考・脳 』 横山詔一、渡邊正孝著 (定価1995円 2007.5月)
 『 大脳皮質と心 』 J・スターリング著 (定価1890円 2005)
 『 アフォーダンスの心理学 』 E・S・リード著 (定価5040円 2000) 

 【書物復権 2007】
 『 日常生活の認知行動 』 J・レイヴ著 (定価3780円 初版1995を復刊)

内容説明

それは世界の肌理や質感の微妙な差を鋭敏に読む。手のみに限らず、身体の様々な部位に生じる触覚の豊かな現象学的事実と、その因果‐発生的関係を生き生きと語る。

目次

第1部 触覚的世界の現われ方(批判と方法論:序説;触現象の種類;触現象の形成要因としての運動)
第2部 触覚的活動の量的研究(表面触に関する研究;貫通触面と空間の貫通触性の研究;触運動の分析 ほか)
第3部 触覚的活動のさらなる分析(触覚における振動感覚の役割;触覚的形の構造に対する視覚および運動過程の寄与)
第4部 応用

著者等紹介

東山篤規[ヒガシヤマアツキ]
1951年兵庫県生。大阪市立大学文学部卒。現在、立命館大学文学部教授(文学博士)。専門は視覚・触覚・自己受容覚による空間の知覚

岩切絹代[イワキリキヌヨ]
1973年愛知県生。大阪府立大学総合科学部卒。名古屋大学大学院文学研究科修了(心理学修士)。現在、(株)ティエスケイ中部に勤務
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