マスメディアの周縁、ジャーナリズムの核心

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  • サイズ A5判/ページ数 462p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784788508095
  • NDC分類 361.45
  • Cコード C1036

出版社内容情報

マスメディアの周縁には、スポットライトを浴びていなくとも、さまざまなものが混在している。そのなかには誕生とともにすぐに消えていくものもあるが、周縁に踏みとどまって、しかも地道なジャーナリズムの活動を続けているものもある。そのような、類の周縁のマスメディア、つまり「小さなマスメディア」は、周縁にあるため影に隠れて見えにくい。しかし、そのだからといって中心から取り残された「残余範疇」としてひとくくりに見なされるべきではなかろう。私はこれまでの研究においても、メインストリームな〈マスメディア・ジャーナリズム〉に対抗する、あるいはそれを補完する形のさまざまな周縁のジャーナリズムを取り上げてきた。ドイツの「ローカルラジオ」や「オープンチャンネル」の事例研究などである。その際、確認してきたのは、それらの存在は、いちおう「「マスメディア・システム」に属しているがために、時に経済的圧力にあえぎ、マスメディアの商業主義へと引きこまれながらも、メディア情況に多様性を与えてきたし、それ以上に、現代社会における「ジャーナリズム」という意識活動を支え、活性化させる、重要な現象だと言える。そしてこうした事例研究から私が考えるのは、「ジャーナリズムの意識とはむしろ、マスメディアの周縁に宿るのではないか」ということである。これが本書の中心的問題意識であり、それをテーゼとて具体例を通して深化させていきたい。(「仮説としての〈マスメディアの周縁、ジャーナリズムの核心〉」)

内容説明

いまジャーナリズム精神はどこに宿るか?ジャーナリズムとは何か。マスメディアとどう違うのか。ルーマン、ハーバーマス、デューイなどのシステム、公共圏、パブリックの概念をてがかりに、さらに日本、ドイツ、アメリカなどの「周縁的」試みのなかに、ジャーナリズム精神の蘇生と可能性をさぐる「ジャーナリズム原論」。

目次

“マスメディア・ジャーナリズム”の矛盾と革新
第1部 大衆化とシステム化―マスメディアの実態(大衆化社会とジャーナリズム―「タブロイダイザーション」論争の視点から;マスメディアの現実―ルーマンの社会システム論を手がかりに)
第2部 ジャーナリズムの新しい可能性を拓く民主主義思想(対抗公共圏とオルターナティヴ公共圏―ポスト・ブルジョア社会の選択肢;「パブリック」温故知新―デューイの思想;コミュニタリアニズムからの問いかけ―“マスメディア・ジャーナリズム”の思想性の検証 ほか)
第3部 マスメディアの周縁、ジャーナリズムの核心―ジャーナリズム再定義の運動(日本における新聞「家庭面」のジャーナリズム;『ターゲスツァイトゥング』の創刊とその現状;米国が生んだ「パブリック・ジャーナリズム」運動)
現代社会における“マスメディア・ジャーナリズム”への展望

著者等紹介

林香里[ハヤシカオリ]
名古屋市生まれ。南山大学外国語学部英米学科卒。在学中、ドイツ、マインツ大学、米国ペンシルバニア大学に各一年間留学。ロイター通信社東京支局英文経済記者を経て、東京大学大学院人文社会系研究科修士課程修了、同博士課程中退。博士(社会情報学)。その間ドイツ、エアランゲン大学に2年間留学。東京大学社会情報研究所助手を経て、現在、デュッセルドルフ大学講師、バンベルク大学客員研究員。在ドイツ
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