出版社内容情報
西欧に生まれて今や全地球を制覇したかにみえる近代科学。それは果たして普遍的絶対的な心理の体系か、それとも西欧固有の特殊で相対的な知の体系か。近代科学成立史の清新な解釈を通して、この根本問題に正面から答えた、著者若き日の記念碑的著作を増補。
内容説明
近代科学の歩みとそれを支えてきた“知”の構造を統一的に描き出し、科学=西欧の思想と文化の根底にあるものを明らかにした画期的科学史入門。新版にあたって「科学革命」の概念を再考する補章を増補。
目次
序章 自然観の歴史と構造の意味
第1章 近代科学成立の母胎
第2章 天文学体系の転換
第3章 生理学における革命
第4章 運動力学体系の転換
第5章 物質観の転換
第6章 自然における生物の位置
終章 西欧近代科学の問題点
著者等紹介
村上陽一郎[ムラカミヨウイチロウ]
1936年生。東京大学教養学部教養学科(科学史科学哲学分科)卒業、同大学院比較文化博士課程修了。東京大学教授を経て、現在、国際基督教大学大学院教授
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感想・レビュー
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まむし
1
いわゆる「暗黒時代」に作られたルネサンスの土台を各ジャンルごとに説明。「その後」含めて分かりやすい語り口でこういう本としては奇跡的な読みやすさ2014/07/15
taming_sfc
1
村上陽一郎先生による1971年(旧版)、2002年(新版)の書籍。近代科学成立の母胎、天文学体系の転換、生理学における革命、運動力学体系の転換、物質観の転換、自然における生物の位置、西欧近代科学の問題点と、論が進む。本書においても重要な点は、村上先生の持論である19世紀に近代科学が生まれたという視点と、それをもたらしたのが聖俗革命であるということ、17世紀科学においては、未だ神ー自然ー人間という思考様式が支配的であったこと、などである。近代科学史のエッセンスといってもよい一冊。2011/07/23