文化遺産の社会学―ルーヴル美術館から原爆ドームまで

文化遺産の社会学―ルーヴル美術館から原爆ドームまで

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  • サイズ A5判/ページ数 332p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784788507913
  • NDC分類 709
  • Cコード C3036

出版社内容情報

 現代はあらゆるモノや記憶を保存しようとする時代です。文化遺産の範囲は、ルーヴル美術館にならぶ名画から、原爆ドームにまで及び、廃坑や刑務所、震災跡までが博物館として公開されています。文化遺産の保存ははたして善か? 複製技術はホンモノを超えられるのか? 戦争遺産・産業遺産は歴史の意味をどのように物語るのか? 日本、フランスを中心に7ヶ国200ヶ所以上を訪れ、文化遺産の本質に切り込んだ初の社会学書。

 ヨーロッパでは、文化遺産保存の戦略は、その意義や目的を与える「反射のプロセス」によって特徴づけられる。文化遺産は、「世界の博物館的二重化」によって、今日的な意義を帯びるのである。文化遺産として認知されるものが存在するためには、社会がなんらかの鏡を通じて自らの姿を知ろうとすること、社会が、その特定の場所やモノ、モニュメントを、自らの歴史と文化の明白な反映として捉えることが必要である。社会が、自らのモノや風土を思索するための常套手段とするためには、社会はその姿を映し出す反射鏡(=文化遺産)を作り出さなければ成らないのである。(文化遺産と象徴的価値より)

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 【関連書籍】
 『 コモンズをささえるしくみ 』 宮内泰介編 (定価2730円 2006)
 『 現実の社会的構成 』 バーガー、ルックマン著 (定価3045円 2003)
 『 歴史的環境の社会学 』 片桐新自編 (定価2520円 2000)

内容説明

文化遺産の保存は善か?戦争遺産は戦争を抑止できるのか?産業遺産は地域を甦らせることができるのか?ユネスコ世界遺産から廃鉱、戦跡まで、あらゆるものが保存され、観光名所と化す現代。増殖する文化遺産・博物館・美術館を縦横に論じ、“保存する時代”の視線と欲望の危うさを問う。

目次

第1章 文化遺産への社会学的アプローチ
第2章 モノと記憶の保存
第3章 戦争と死者の記憶
第4章 真正か複製か
第5章 地域の集合的記憶―フランス
第6章 地域の集合的記憶―日本
第7章 かたちのないものの遺産化
終章 保存する時代の未来

著者等紹介

荻野昌弘[オギノマサヒロ]
1957年生まれ。パリ第七大学大学院社会科学研究科博士課程修了、社会学博士。関西学院大学社会学部教授。専攻は文化社会学、歴史社会学

小川伸彦[オガワノブヒコ]
1962年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。京都大学文学部助手をへて、奈良女子大学文学部助教授。専攻は文化社会学

ジュディ,アンリ・ピエール[ジュディ,アンリピエール][Jeudy,Henri‐Pierre]
1945年生まれ。フランス国立科学研究センター研究員。専攻は文化社会学、コミュニケーション論

脇田健一[ワキタケンイチ]
1958年生まれ。関西学院大学大学院社会学研究科博士課程後期課程単位取得退学。滋賀県立琵琶湖博物館主任学芸員をへて、岩手県立大学総合政策学部助教授。専攻は環境社会学・環境民俗学

山泰幸[ヤマヨシユキ]
1970年生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。ソウル大学校社会科学大学院博士課程在学。専攻は文化人類学
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

gokuu

2
気になっている「負の遺産」の観光化について考えるかなー、と思って読んだ本。メモだけしとく(文章にはなってないよー) ・ナチスに焼き払われたフランスの街を保存しようという動きがあったのだけれど、誰も戻らすゴーストタウンに。「凍結された時間に支えられた博物館学的秩序のなかで、忘れられていく死者たちに生者がいかに対処するのかという問題は、根本的な問題のひとつなのである」 ・3章で、フランス人学者が、日仏の違いを「日本はモノでなく物語や各種技能を組成させることをめざす/技能の伝達が重視されるため、モノに働き2013/10/12

きいち

2
記憶をよびさますことで、自分のアイデンティティのための「物語」作りの素材とするのが遺産。ひとりひとりその物語が違ってくる時代には、文化遺産自体も変わっていく、その姿をレポートしてくれてるんだと思って読んだ。もうすこし整理していきたい。2011/04/16

たろーたん

1
他者の文化をそのまま受け入れ、評価し、研究すると言う一種の欲望があって、初めてモノは文化遺産になる。この他者の生産物を所有したい欲望が博物館学的欲望であり、その特徴は手に入れた者を永久保存と本物志向。特に面白かったのが、フランスと日本の比較で、フランスが、この博物館学的欲望の解放による文化遺産化が徹底されるのに対して、日本が死者の記憶を喚起するような形で、モノを通じて死者と正者の関係を再構築するような、物語を主眼として保存するところ。ゆえに、モノそのものではなく、無形文化財などの考え方も出てくる。2021/07/06

chatain1008

0
図書館で借りては挫折すること三回目にしてようやく言ってることの意味がわかった。よかった。

0
レポートのため。1章と7章と終章をぱらぱらと。2010/07/13

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