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シリーズ環境社会学
コモンズの社会学―森・川・海の資源共同管理を考える

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  • サイズ B6判/ページ数 251p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784788507487
  • NDC分類 334.7
  • Cコード C1036

出版社内容情報

 破壊された自然環境を人間の手でどのように再生することができるでしょうか。日本はもちろん、近代化・開発によって森林が急激に失われつつある熱帯諸国では事態はさらに深刻です。コモンズとは、森、川、海などかつて人間が生活のよりどころとし、ほかの生物と共生してきた自然環境を総称する言葉です。社会の慣習に埋め込まれてきた環境保全のしくみを日本各地(白神山地、手賀沼、石垣島など)、インドネシア、ソロモン諸島などのフィールドワークから掘り起こし、森林や水辺の破壊を食い止め再生するために必要な理論と方策をさぐります。

 「参加型~」という言葉が流行している。しかし、自然資源管理への参加というのは、地域住民による生存権・生活権の回復、あるいは市民による公共利益を享受する権利の保全、といった文脈で語られるべきものである。労働者として地域住民を雇用しているから参加型アプローチをとり入れています、というのはあまりにも皮相的であり、あまやかしである。
 われわれの目指すべき道は、このような視点を持ちつつ、地域住民・市民が主体の自然資源管理にあり方を探っていくことである。その際、行政との関係のあり方、つまり距離に留意する必要があるだろう。日本の公害や熱帯林問題における行政の対応の歴史から学ぶならば、持続的、一体的協力関係というニュアンスが強い「パートナーシップ」よりも、むしろ複数の主体が対等な資格で、具体的な課題達成のために行う非制度的で限定的な協力関係ないし共同作業をさす「コラボレーション」の方が、住民・市民と行政との関係にふさわしい。地域住民、市民、行政、企業の間で是々非々的な距離感覚を大事にした自然資源の共同管理を実現することが理想像である。(「終 章」より)

 ・沖縄タイムス「コモンズを再評価し、掘り起こし、活用すべき時代にきたことを本書は教えてくれる。」(2001年4月15日、松島泰勝氏・評)
 ・東京新聞 2001.4.29 紹介

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 【関連書籍】
 『 里川の可能性 利水・治水・守水を共有する 』 鳥越皓之ほか編 (定価2310円 2006)
 『 みんなでホタルダス 』 水と文化研究会編 (定価2625円 2000)
 『 環境的公正を求めて 』 戸田清著 (定価3675円 1994)

内容説明

コモンズと呼ばれる“森・川・海”の資源管理や利用には、人々の暮らしが深くかかわってきた。資源を大切に保ってきた地域の慣習やしくみは、どのようなものだったのか。日本と熱帯のフィールドからコモンズの熱い息吹と危機の現実を伝える。

目次

自然資源の共同管理制度としてのコモンズ
1 日本のコモンズ(「みんなのもの」とは何か―むらの土地と人;山村の暮らしから考える森と人の関係―雪国における森林利用とその変容 ほか)
2 ソロモン諸島とインドネシアのコモンズ(住民の生活戦略とコモンズ―ソロモン諸島の事例から;コモンズとしてのサシ―東インドネシア・マルク諸島における資源の利用と管理 ほか)

著者等紹介

鳥越皓之[トリゴエヒロユキ]
筑波大学社会科学系教授

井上真[イノウエマコト]
1960年山梨県生まれ。1983年東京大学農学部卒業。現在東京大学大学院農学生命科学研究科助教授。農学博士。関心分野、ローカルレベルでの人と森との関係性を探るコモンズ論を基礎にしつつ、さまざまなレベルで登場する諸アクターの利害関係や動きを視野に入れて、ナショナルおよびグローバルレベルでの政策論を展開したい。著書に、『熱帯雨林の生活―ボルネオの焼畑民とともに』築地書館、1991年、『焼畑と熱帯林―カリマンタンの伝統的焼畑システムの変容』弘文堂、1995年;Rainforest Ecosystems of East Kalimantan:El Nino, Drought, Fire, and Human Impacts, Springer-Verlag,2000(分担執筆);『アジア環境白書2000/01』(共著)東洋経済新報社、2000年ほか

宮内泰介[ミヤウチタイスケ]
1961年愛媛県生まれ。1991年東京大学大学院社会学研究科単位取得退学。現在北海道大学大学院文学研究科助教授。関心分野、ソロモン諸島における生活・開発・環境・歴史の研究。北海道における、まちづくりの観点から考える住民と環境とのかかわり。かつお節から見える近代日本―沖縄―「南洋」のかかわり。著書、『エビと食卓の現代史』同文舘、1989年、『ヤシの実のアジア学』(共編著)コモンズ、1996年、『日本人の暮らしのためだったODA』(共著)コモンズ、1999年ほか
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