万葉集の発明―国民国家と文化装置としての古典

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  • サイズ B6判/ページ数 356p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784788507463
  • NDC分類 911.12
  • Cコード C1090

出版社内容情報

 ・日本経済新聞・2001年3月18日付「とにかくおもしろい」(佐々木幸綱氏・評)
 ・「出版ニュース」2001.4月上
 ・京都新聞 2001.4.1「万葉集に興味のある向きはもちろん、歴史学や社会学などのアプローチからも十分に読者を魅了する内容を秘めている。」(元吉進氏評、同記事山形)
 ・「國文學」2001.7月号 身崎 寿氏評
 ・「月刊 国語教育」2001.7月号 渡辺泰明氏評

内容説明

“天皇から庶民まで”が“素朴な感動を雄渾な調べで真率に表現した”民族が誇る国民歌集といわれる『万葉集』。この「古典」はいつ頃、いかにして成立したか。文学史を博捜して緻密な論理で、国民国家・民族と古典としての『万葉集』誕生との不可分の関係を跡づける。

目次

第1章 天皇から庶民まで―『万葉集』の国民歌集化をめぐる問題系(国民歌集の構造;子規の再発見という通念;金属活字版『万葉集』の出現;一八九〇年という画期 ほか)
第2章 千年と百年―和歌の詩歌化と国民化(国民歌集の前史;『新体詩抄』と和歌改良論;国文学と国民文学;子規のスタンス ほか)
第3章 民族の原郷―国民歌集の刷新と普及(民謡の発明;万葉びとの創成;異端者伊藤左千夫;教育者の聖典―島木赤彦の万葉尊重)

著者等紹介

品田悦一[シナダヨシカズ]
1959年群馬県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程(国語国文学)単位取得修了。上代日本文学専攻。現在、聖心女子大学文学部助教授。共編著に「『うた』をよむ三十一字の詩学」(’97年)
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感想・レビュー

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takeapple

12
「万葉集は、農民から天皇までの和歌の載った国民的歌集である」という言説が如何につくられたものかと言うことを明治以降の和歌を巡る人々の軌跡を辿る事で解き明かしていく。考えてみれば、文字が伝わってすぐの、かな文字も無い時代に一般庶民が、自分で短歌を作って書き記すなんてことがあり得る筈が無い。百歩譲って、当時歌われていた民謡を地方に赴いた文字の書ける役人が採録したと言うのも無理がある。要は国民国家樹立の明治期、そして戦後の民族独立が必要だった時代に発明されたものが万葉集だったと言うことである。2019/08/13

gorgeanalogue

5
「天皇から庶民まであらゆる階層にわたる」「素朴な感動を雄渾な調べで真率に表現」という、現在でも多くの人に共有されている「万葉集」の一般的なイメージが明治後期に作られたものであることを論証した労作。著者も認めているが、明治期歌人の万葉集観の変遷が中心的に取り上げられて、ちょっと一面的な感じはある。また90年代以降に流行した「国民国家」論に密着しすぎているような嫌いもある。中盤に不意に、少しだけ昭和以降の万葉集受容についても触れられるが、末尾でもう少し論じてほしかった。2017/08/09

石光 真

2
天皇から庶民までというのは1890年ごろに急に言われ始めた。新体詩の導入や国民意識に連動したイデオロギーに過ぎない。記紀歌謡と比べて五七五が整っているだけみても奈良の貴族の規範に従っている。庶民っぽい歌を作って入れて喜んでいるだけではないか。このメインテーマは証明されてはないが、説得力はある。この本一冊そのバリエーションの繰り返し。おもろいがな。2017/09/06

清 義明

1
国民国家の成立をめぐるドタバタ喜劇。それが万葉集の顕揚をめぐる右往左往の正体。ドイツロマン派風な「文学は国民の文化の華」というところから万葉集は見出された。著者が認めるように、この着眼点はホブズボウムからのものだが、緻密な論証は圧巻。国民文学や民族文学の正体はなにか。勉強になった。2019/05/18

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