出版社内容情報
「エスノメソドロジー」は、現象学的社会学と並んで、現代社会学の最も重要な流れです。本書は難解といわれてきたエスノメソドロジーの理論とそのユニークな方法である「会話分析」をかみくだいて説きあかし、実際に障害者・被差別部落・女性差別・暴力をトピックとするインタビュー・会話録・討論会・テレビドキュメンタリーの会話分析を行ってみせた、日本ではじめてのまとまった成果です。
ひとびとが現実に暮らしている日常というローカルな場におりたつとき、エスノメソドロジストであろうとなかろうと、「わたし」は「透明人間」なんかでいられるはずがない。ひとびとの語りに驚き、感動し、さまざまな「方法」を直接的に把握するとき、「わたし」は、エスノメソドロジー的無関心という手続きをいとも簡単にのりこえ、ローカルな現場に現場にさらされていく。それでも、エスノメソドロジストは「透明人間」でいられるのか。わたしにとって、エスノメソドロジーとはなんであるのか。社会学を革新していく方法的手続きという位置づけをこえて、「わたし」の日常までも巻きこんだ知的ないとなみとして、エスノメソドロジーを構想できないだろうか。こうした問いが「わたし」を本書におさめたような論考へと導いていったのです。(「あとがき」より)
・「週刊読書人」99.11.12 西原和久氏評
・「出版ダイジェスト」99.8.21
・「週刊読書人」99.12.24 特集「1999年社会学まとめ」
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【関連書籍】
『 フランスから見る日本ジェンダー史 』 棚沢直子、中嶋公子編 (定価3360円 2007.5月)
『 増訂版 フィールドワーク 』 佐藤郁哉著 (定価2310円 2006)
『 アイデンティティの権力 』 坂本佳鶴恵著 (定価3675円 2005)
【新 刊】
『 ワードマップ エスノメソドロジー 』 前田泰樹ほか編 (定価2520円 2007.8月)
内容説明
差別する知の仕掛け、差別を溶解する語りのちから。喧騒にみちた日常生活の「生の方法」に共振する批判的エスノメソドロジーの探求。フィールドワークのラディカルな方法論。
目次
第1部 エスノメソドロジーを語る(エスノメソドロジーの社会分析;日常生活批判としてのエスノメソドロジー;会話分析の基本的な考えかた;螺旋運動としてのエスノメソドロジー ほか)
第2部 差別の日常を読み解く(解放のネットワークをめぐる分析課題―ある障害者地域自立の聞き取りから;「施設」の語りかた―ある知的障害者「施設」長の言説分析から;「施設に暮らす障害者」という埋め込まれたメッセージ―あるTVドキュメンタリーが強制するカテゴリー化の解読;からかわれ、さらされる「身体」と「論理」―あるディスコース空間にしくまれ、つくられる性差別現象の解読 ほか)