出版社内容情報
ドイツ民族主義・神秘主義の申し子として自らをキリストに代わる救世主と信じたユング,ロックフェラー財閥の役割,反ユダヤ主義とナチズムへの接近の真実等々,これまで未公開の資料を博捜してユングの生涯と教義を脱構築した読書界震撼の研究。
ユングは20世紀の文化や霊的状況に対して相当のインパクトを与えたが、このことを何年も考察しているうちに、私は個人としての彼がローマ皇帝、背教者ユリアヌス(四世紀)に匹敵する人物だという結論に達したのであった。正統キリスト教に重大な傷を負わせ、ヘレニズム世界の多神教を西洋文明のもとで復興させた人物として匹敵するのである。私のこういう考えがまったくもって思慮を欠いたものであり、造物主になりたいというファンタジーに支配された歴史家の思い上がりであることは重々承知している。しかしそれでも私は思う。さまざまな歴史的、技術的要因 -- なかでも近代的マスメディア最重要であろう -- のおかげで、ユングの場合、ユリアヌスの失敗したところで成功をおさめることができたのだ、と。(本文より)
・北海道新聞 99.3.7
・毎日新聞 2000.6.18 鈴木 晶氏「この人・この3冊」
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【関連書籍】
『 心理臨床の創造力 』 岡昌之著 (定価2520円 2007)
『 嘘を生きる人 妄想を生きる人 』 武野俊弥著 (定価2310円 2005)
『 こころの秘密 』 佐々木承玄著 (定価2940円 2002)
【新 刊】
『 老愚者考 』 クレイグ著/山中康裕監訳 (定価2205円 2007.6月)
内容説明
ユングは異教のキリストたらんとした!ロックフェラーの財力がユングを世界的にひろめた!ハーヴァードの科学史家が明かす、公式の伝記の背後に隠されたユングの真実。
目次
第1部 創世記(内なる父祖の国;招霊 ほか)
第2部 秘儀(複婚;太陽崇拝 ほか)
第3部 使徒行伝(ファニー・バウディッチ・カッツ―「分析は宗教」;エディス・ロックフェラー・マコーミック―ロックフェラー家の分析家 ほか)
第4部 啓示(ゲルマンの預言者から老賢者へ ほか)