メルヒェン叢書<br> 愛と性のメルヒェン―グリム・バジーレ・ペローの物語集にみる

メルヒェン叢書
愛と性のメルヒェン―グリム・バジーレ・ペローの物語集にみる

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  • サイズ B6判/ページ数 346p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784788506572
  • NDC分類 909.3
  • Cコード C1090

出版社内容情報

 メルヒェンには王子さまとお姫さまの愛だけでなく,兄弟姉妹,父と娘,母と息子などの禁断の愛とエロスも描かれている。三大童話集に描かれたこれら愛と性のさまざまな形象に光をあてて,メルヒェンを人間の根源的な欲望を映し出す鏡として読む。

 本書では、性的欲望をめぐることがらの描写を論じるなかで、民話を純朴なものだとするこうした考え方への反証を挙げていくつもりである。精神分析の立場に立つ批評家とは対照的に、われわれは心的過程の描写が物語の作者によって無意識に作り出されたとはみなさないし、物語の語り手たちが現代の精神分析の先駆者であるとも考えない。われわれは文学的アプローチをとるので、前提とする考え方も精神分析的なものとは大きく異なる。すなわち、物語の創作が多少とも無意識的に行われたとしても、作者はその意味を理解していただけでなく、聴衆にも -- 少なくともその一部には -- 物語がその時代固有の文化的枠組みのなかでもつ意味が伝わるものと予期していたと、と考える。したがって、私たちは、物語の創作者や改作者が性欲とその結果を描くことに関心を抱いていたかどうか、もし関心を抱いていたのならそれをどんな形でほのめかしたか、を見ていくことにする。また、広範な物語伝承者たちの興味をもっとも強くひいたのは、欲望がもたらす結果のどんな側面だったのか、逆にまったく無視されているのは何なのか、という問題も考察してみたい。(「序章」より)

 ・「グリムの読者、研究者たちの興味を引く一冊だろう。」(1999年 1月 18日付山形新聞、平田俊子氏評)
 ・「サンデー毎日」99.6.13 高橋義人氏評 

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 【関連書籍】
 『 龍の中の燃える火 』 ローハイム著/ダンデス編 (定価3570円 2005)
 『 おとぎ話の社会史 』 J・ザイプス著 (定価3360円 2001)
 『 グリム童話 』 M・タタール著 (定価2940円 1990)

内容説明

性愛はどのように描かれているか。おとぎ話にみる愛の仕掛け。兄と妹の物語で兄が動物に変身する話が多いのはなぜか?父と娘、母と息子の禁じられた愛のゆくえは?おとぎ話におけるさまざまな愛のかたちをたどりつつ、おとぎ話=子どものためのお話に隠された性的欲望のメカニズムを浮き彫りにする。

目次

1 兄弟と姉妹
2 美女と野獣
3 父と娘
4 老婆と魔女と妖精
5 みずから恋をつかむ乙女と本当の花嫁
6 花婿と独り者