言語の金使い―文学と経済学におけるリアリズムの解体

言語の金使い―文学と経済学におけるリアリズムの解体

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  • サイズ B6判/ページ数 292p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784788506510
  • NDC分類 953
  • Cコード C1010

出版社内容情報

 芸術におけるリアリズムの危機は金本位制の終焉とまさに時を同じくしている! A・ジッドの小説『贋金つかい』を叔父C・ジッドの貨幣論と合せ読むことによって,貨幣にまつわる経済学の問題と言語・表象にまつわる文学の問題を交差的に読み解く。

 一貫したメタファーの戯れにより文学的なフィクションの内部で語られる貨幣と言語との構造的な相同性は、ひとつの歴史的断絶を標定することを可能にしてくれる。古典的な表象作用の写実的・表象的な装置を支えていた「言語=金」の古びた時代の後に、指示物の消失とそれに伴うシニフィアンの漂流を現出させる現代、すなわち、「言語=代用貨幣」(langage-jeton)の時代が到来したのだ。貨幣的な記号と言語的な記号、経済と文学の双方に作用するこうした代替の論理を検討することにより、われわれの象徴化の形態の主用特徴を説明し、さらにはそのアポリアを出発点に、今後の可能性に向かって冒険的に踏み込んでいくことが可能となるであろう。(本文「序」より)

 ・「出版ニュース」 98.11下
 ・南日本新聞 98.11.29
 ・「このまま文学は、単なる記号遊びの遊具へと転落し続けるのか」(福井新聞、高知新聞、神戸新聞 98.11.15)

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 【関連書籍】
 『 思考のトポス 』 中山 元著 (定価2520円 2006)
 『 ことばの意味とは何か 』 F・レカネティ著 (定価3990円 2006)
 『 文化理論用語集 カルチュラルスタディーズ+ 』 P・ブルッカー著 (定価3990円 2003)

内容説明

文学におけるリアリズムの危機と経済における金本位制の危機が同時期に生じたことは単なる偶然だったのか。ジッドの『贋金使い』を題材に、一般等価物=金の機能停止が言語・主体・遠近法などの危機といかに密接に連動しているかを、鮮やかに抉出。言語と貨幣をめぐる二十世紀思想史。

目次

1 贋金使い(贋金貨;交換イコール兌換可能性の危機;グレシャムの法則;古銭学的フィクション ほか)
2 原型、代用貨幣、財宝(リアリズムと交換イコール兌換可能性;マラルメの貨幣;貨幣の理性;法と財宝 ほか)