出版社内容情報
こころの問題が多発する時代、心理学が注目を集め、カウンセリングに大きな期待がよせられている。心理学はこれらの期待にどう応えるか、それは果たして万能薬か。身近な現象への深い洞察をとおして問題の性質を問い直し、心理学の可能性を再考する。
宗教を失った現代人は、それに代わる「癒やしの科学」しての心理学や精神医学を求めているように感じられるのです。ここには、心理学がオウム真理教と紙一重になりかねない危うさが感じられ、手放しで第二の心理学ブームとはいえない恐れを覚えます。ここにいわれる心理学とは、マズローのいう精神分析を典型とするような一方の流派だけを指し、必ずしも人間性の全面的理解に至るものではないというアンバランスも、恐れを加速します。
だからといって、正反対の科学的心理学に頼るのも、別の偏りを招きます。むしろ、人間についての多様な知見をできるだけ公平に統合することによって、初めて私たちはこの地平を超えていけるのではないでしょうか。(「カウンセラー病心理学」より)
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【関連書籍】
『 心理臨床の創造性 』 岡 昌之著 (定価2520円 2007年4月)
『 入門 マインドサイエンスの思想 』 渡辺・石川編著 (定価2800円 2004)
『 〈私〉という謎 』 渡辺恒夫・高石恭子編 (定価2500円 2004)
内容説明
揺らぐアイデンティティのゆくえ。マインド・コントロールやスクール・カウンセリングなど、昨今の「こころの時代」とでもいうべき異常な「こころ」への関心の高まりは「心の神秘教」への願望ではないか?本書は身近な現象を再発見するところから、心の距離をはかる。
目次
カウンセラー病心理学
他人の気持ちを理解する
外界のみえ方と妄想
二重人格の不思議
心の神秘教
子宝思想から幼児虐待へ
人間成長への鍵
心の働きと健康
テレパシー・念力・予言
マインド・コントロール〔ほか〕