出版社内容情報
概要を示すなら本書は、一九六〇年代から現在に至るまでの主要な議論を抑えてある。フランスが中心であるのはことの性質上当然だが、とくにアメリカでの旺盛な文学研究の動向がバランスよく盛りこまれていることは、本書の特色の一つに挙げられるだろう。第二の特色として、文学研究の現在と未来を意識したことを強調しておきたい。類書にはない文学メディア論の項目や「コンピュータと文学研究」などは、そうした意識の端的なあらわれである。巻末のブック・ガイドも、これから読者が文学の考察に新たな展開を加えてゆく契機となる著作を中心に選んである。第三の特色として、本書がすでに文学理論に十分精通している人たちをもターゲットとしていることを挙げておこう。解説的な部分にさえわれわれは、われわれ独自の見解を添えるようにした。アクセントの置き方、意義付け、展望などに関して、本書は既存の内外の文学理論概説書にみられる記述と多くの点で異なっている。(「おわりに」より)
・毎日新聞 97.11.21 大井浩一氏評
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【関連書籍】
『 思考のトポス 』 中山元著 (定価2625円 2006)
『 ことばの意味とは何か 』 F・レカネティ著 (定価3990円 2006)
『 文化理論用語集 』 P・ブルッカー著 (定価3990円 2003)
内容説明
構造主義からコンピュータまで。現代思想の底流を形成し、世界の見方を挑発してやまぬ現代の文学理論。バフチン、ジュネット、バルト、クリステヴァ、ド・マンなどの理論とキイワードを手がかりに、読む楽しみをテクストから世界へ解き放つ。
目次
1 構造主義詩学の展開(記号とは何か?―現代思想と現代文学理論を震撼させた記号理論を解明する;ソシュール言語学から構造主義文学批評へ―現代文学理論のはじまり ほか)
2 文学理論の記号論的転回(テクストと記号―記号論的テクスト主義宣言 テクストの誕生;テクストと修辞理論―修辞とは世界創造の概念装置である ほか)
3 社会のなかの文学(テーマ批評―物質的想像力からテクストの解体構築へ;マルクス主義文学批評の可能性―はたしてマルクス主義文学批評に未来はあるのか? ほか)
4 テクスト理論の諸相(意味生成分析―クリステヴァによる詩的言語の永久革命理論;テクストの精神分析―テクストは読まれると同時に読む ほか)
5 新たな理論展開に向けて(テクストのなかの他者性―読むこと、それは他者性の不意撃ちに自らを開くことである;ドゥルーズとスキゾ分析―樹木から根茎へ ほか)
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