出版社内容情報
日本の近代国家形成において家族と女性はどのような役割を果たしたのか。明治・大正期の総合雑誌や修身書等の分析を通して,家制度が近代的な政治装置であり,女たち自らが家庭・ジェンダー規範を取り込み国民化していった隘路を鋭く照射する。
これまで日本の近代化にとってネガティブな機能を果たしたことがしばしば指摘されてきた。しかし、西欧社会とは異なる固有の文化的特性を持っていたとしても、西欧と同様に産業化と都市化を進行させ、中央集権的国家を築き上げた事実からすれば、日本の家族が西欧の家族と全く異質であったとみるのは妥当ではなかろう。実際日本でも、すでに近世中後期から諸々の社会経済的変動のなかで庶民層にも情緒的な家族意識が新たに萌芽していたし、明治半ば以降には家内的で母子中心の「家庭」が一つの理想としての地位を占めるに至っていた。このような変化は、西欧社会において発見された新しい家族意識とどのように異なっていたのだろうか。(本文「序」より)
・「゛家族近代化”の成果と抑圧」
・(西日本新聞 98.1.25 中山昭彦氏評)
・「週刊読書人」 96.12.27 特集 「近代以後メタヒストリーを提起」阿部安成氏
・「週刊読書人」 96.12.27 特集「女性学」古田睦美氏
・「週刊読書人」 96.11.15 浅井美智子氏
・「週刊ポスト」96.10.4 杉山光信氏評
・「Women's EYE」96.10.1 小田亜佐子氏
・西日本新聞 96.9.29 山田昌弘氏評 同記事、北海道新聞
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【関連書籍】
『 フランスから見る日本ジェンダー史 』 桐沢直子、中嶋公子編 (定価3360円 2007)
『 帝国と暗殺 』 内藤千珠子著 (定価3990円 2005)
『 アイデンティティの権力 』 坂本佳鶴恵著 (定価3675円 2005)
内容説明
日本の国家形成のなかで家族はいかに位置づけられてきたか。明治期の社会史的な資料や言説を読み込んで日本の家制度が個人を国民として教化編入する「近代的な」装置であったことを明らかにし、とくに女性や子供がもっていた国家との両義的な関係を鋭く解明する。
目次
1 家族の歴史と理論(「家」と近代;家族の社会史から家族社会学へ)
2 近代日本の家族再考(「家庭」の登場とそのパラドックス;家族国家観再考)
3 女の近代のアンビヴァレンス(戦略としての女;「家庭」イデオロギーと女性)
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