出版社内容情報
コンピュータとしての脳から化学装置としての脳へ。薬物による脳内化学変化とそこから生じる様々な精神変容過程の研究から,脳と心についての衝撃的な発見がもたらされている。脳研究のこの新展開を紹介しつつ,忍び寄る薬物社会の問題点を描出する。
この十年、脳内に存在しているたくさんのペプチドや伝達物質が全身のいたるところで見つかってきた。サブスタンスPやガストリン、リポトロピンといった制御ホルモン、これらは脳や脊髄だけでなく、腸や副腎、生殖器官にも存在している。このように全身にわたって同じ科学物質が存在しているということは、脳の精神プロセスに身体全体の影響が及んでいるということ、そしてもちろんその逆の作用もあるいうことを示唆している。腹が立つとか、腹を据える、腹を抱えるといった表現は単なる比喩に留まるものではない。同じ神経伝達物質やペプチドが脳にも消化管にも存在しているからである。現実に精神、身体、心、肉体は、こうした化学物質によってつながっているのである。(脳をデザインする脳より)
・読売新聞 95.11.19 田中三彦氏評
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【関連書籍】
『 日常生活の認知行動 』 J・レイヴ著 (定価3780円 初版1995を復刊)
『 心の神経生理学入門 』 K・シルバー著 (定価1785円 2005)
『 大脳皮質と心 』 J・スターリング著 (定価1890円 2005)
内容説明
その一服が世界の知覚を変え、感情を変化させ、苦痛を和らげるドラッグ=精神変容物質。到来した薬物常用社会をコントロールするための、脳と心のサイエンス。
目次
障害を受けた思考と分子
脳
魔性の酒
ホフマン博士と魔法の環
無気力になったモルモット
神経細胞を締める
うつの解剖学
ロシア人形
二重スパイ
良い薬、悪い薬〔ほか〕