子どもとファンタジー―絵本による子どもの「自己」の発見

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  • サイズ B6判/ページ数 225p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784788504974
  • NDC分類 371.45
  • Cコード C1011

出版社内容情報

 全世界で読みつがれている絵本(邦訳『大きな木』)に寄せられた日本,韓国,イギリス,スウェーデンの子どもたちの感想文。その子どもらしい生き生きとした表現から,発達におけるファンタジーのはたらきを見事に浮かび上がらせた心理学の新しい挑戦。

 この本の内容は普通の「発達心理学」の内容とはやや違う。ふつう、心理学では多くの実験データや観察データを用いて論が進められるのだが、ここで私が発達に関して述べた心理学的見解の根拠としているのは、ある一篇の短い物語(絵本)を読んだ子どもや青年たちの感想文だけである。
 こう書くと、物語に対する子どもたちの感想が感情や認識、「自己」の発見過程についてそれほど多くを語ってくれるのかと訝しがる方がいらっしゃるかもしれない。私自身も彼等の感想を読むまではそう思っていた。しかし、私の求めに応じて子どもたちが書いてくれた物語の感想はいきいきしとており、その行間からは書かずにはいられなかった彼らの気持ちが伝わってくる。(「まえがき」より)

 ・「月刊海外子女教育」95.3月 宮地敏子氏評
 ・朝日新聞「天声人語」95.1.8

目次

『与える木』の紹介
第1章 ファンタジーの世界の生成過程
第2章 想像と創造がすすめる物語の理解
第3章 他者の認識と「私」の認識
第4章 感情と認識の関係
第5章 子どもたちをとおしてみた社会・文化
第6章 子どもにとって感想とは―感情のバランスの回復と自己の発見

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ブルーハート

5
シェル・シルヴァスタインの絵本『おおきな木』を日本を含め4か国の子ども達に見せて、その感想を分析したもの。子ども達がどのように自己を発達させていくかを、その記述から分析するわけだが、多分そこには心理学者としての筆者がどう分析を進めていくかの枠組が予めあってのことだろう。別の人ならまた別の分析と解釈があったかもしれない。2018/10/23

つんどく

3
一つの絵本の感想を国内外からたくさん集めて、どこに注目したのかどう変化していくかを分析した発達心理学の本。課題となる絵本は知らなくても説明があるので問題なし。現実ではない世界を子どもがどう捉えていくのか、我が子がまだ幼いので参考にしようと。その世界に没入して自分を投影したり、自分の美意識とのズレに心の平衡が崩れるが故に整えようとした痕跡が感想の中に現れるなど興味深い事が書かれていた。日本と海外の社会や文化の違いによる捉え方の違いも面白い。少し古い本だが一読の価値あり。2022/10/16

けいねこ

1
日・韓・英・スウェーデンの子どもたちのこの『大きな木』に対する感想を分析した研究書です。年代や国籍、性別などによる感じ方の違いが比較され、その理由が分析されている興味深い本でした。しかし、環境により、これだけ感じ方が違うとなると、他国で生まれ育った人の作品を読んで理解したつもりになっていても、本来書き手が与えようとしたものと全然違うことで感動していることもあるのだろうなと、考えさせられてしまいました。

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