出版社内容情報
善悪・賢愚・美醜の枠をこえ死をも恐れぬ輝きを放つ高貴な人とはどんな人か。ニーチェ・フーコー・バタイユから光源氏へ,時代・文化を超えて思想と物語に刻まれた貴人の造型を浮び上がらせ,ポスト近代における生き方=倫理を探究した快著。
・「よむ」93.2 鷲田小彌太
・「週刊読書人」93.2.8 市野川容孝氏評
・「図書新聞」93.1.30 百川敬仁氏評
内容説明
近代の知が照準したのは、抽象的な平均人であり、狭い自意識の担い手としての個人である。その個人とは、実は小さい人のことであった。「大きい人とはどういう人なのか」という具体的で現実的な問題こそ問われなければならない。こうした問題に取り組んだ思想として、ニーチェ・バタイユ・フーコーの残した仕事がある。本書がめざしているのは、ヨーロッパの現代思想に学び、また、光源氏という人の息吹に鼓舞されながら、歴史の現在における人の生き方=倫理について考えていくことである。
目次
「人間」の退場
超人
生存の美学
光源氏(美へ下降する力;貴人のみさを)
至高性