内容説明
捨て子・貧民の救済に源を発し、近代家族に介入・規制する複雑な回路を発達させた国家の管理装置。子どもの裁判・社会事業・精神分析などの〈保護複合体〉の諸制度が、自由・平等・博愛の下に不気味に増殖し、まなざしの罠を仕掛ける。
目次
子どもの健康管理
家族による管理
保護複合体
イメージの規制
あとがき 社会的なものの上昇
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Mealla0v0
4
近代家族の系譜学的研究。旧体制の下では家族は統治の主体かつ対象であった。家長は家人に権力を行使する他方、国家の最小単位だった。だが次第に家族は変化していく。家族は(国家からではなく)社会から介入されるようになる。介入には、一方では援助と慈善があり、他方には医療と公衆衛生がある。そのなかでも、子どもが介入の戦略点となる。子どもは単に家族に委ねられるだけでなく、社会的保護=後見の対象となった。同時に、母親もまた貧困、つまり不道徳から救出されるべき存在となり、家族の自律性は縮小したが、家族主義の強化は図られた。2021/01/07
やむたろう
2
個人的には社会的なものの発明より難しい。フランスの社会学的な視点を学べたと言う意味では有用だったけど、日本の社会学とは異なるって言う印象が強いから日本の文献も読んでいきたい2020/06/18