出版社内容情報
今年度プロ野球セリーグの防御率トップに輝いた、巨人軍桑田真澄投手の投球ホームには、「古武術」が生かされている。このエピソードは、多くのスポーツ紙にも紹介され、その師である甲野先生の名著をこのたび復刊することになりました。
宮本武蔵は、その著書『五輪書』のなかで、「諸流の兵法者の行合、六十余度迄勝負すといえども、一度も其利をうしなわず」と自信をもって述べているが、江戸時代中期、この武蔵の頃とは時代環境が異なっているとはいえ、一千回を超える他流との試合に一度も敗れなかったという桁外れの記録を持っていた剣客がいたのである。その名を真里谷円四郎源義旭という。(はじめに より)
著者略歴
1949年東京生まれ。武術稽古研究会「松聲館」主宰。古伝の日本武術の研究を行い、独自の技法と稽古理論によって武術の指導を行っている。
関連本
『 スプリット 』 カルメン・マキ,名越康文,甲野善紀著、新曜社
『 武術の新・人間学 温故知新の身体論 』(PHP文庫)、PHP研究所
『 越境する知 1 身体:よみがえる 』栗原 彬〔ほか〕編 、東京大学出版会
『 剣の思想 』共著、青土社
『 新・井桁術理 』甲野 善紀著、合気ニュースほか多数。
内容説明
江戸期、針ケ谷夕雲にはじまり、三代真理谷円四郎で滅んだ幻の無住心剣術とは?身体感覚を通して無為自然〈相ヌケ〉を求めたその思想と技とは?埋もれた史料を博捜して未踏の領野に分け入り、〈武〉の豊饒な可能性をきり拓く、気鋭の書き下ろし。
目次
1 無住心剣術の幻影
2 無住心剣術の生い立ち
3 白井享は無住心剣術を再興したか
4 江戸時代が育てた剣術の技と思想
5 日本の剣術思想にみられる「気」の概念
6 逆縁の出会い―武家思想に与えた禅の影響
7 相ヌケの思想―無住心剣術にみる人間としての武士の悲願