出版社内容情報
アスベスト災害を「静かな時限爆弾」と命名し、その恐るべき実態を詳細に検証した初めての本。それはいつ、どこで起きるか。発症はどのような経過を辿るか。個人として社会としてどう対処するか。事実に即して書かれたアスベストとその健康被害のすべて。
アスベストは環境中で、半永久的に劣化することなく存在しつづける。じつは、この性質がアスベストの人体に対する毒性を高めるうえで重要な役割を果たしている。最初の曝露より20年から40年のタイム・ラグを置いて、肺ガンや悪性中皮腫を発病させる。このように長い潜時をもつことから、体内のアスベストは時限爆弾になぞらえることがある。アスベストの悲劇は、これが不死であることにある。一度体内にとり込まれたアスベスト繊維は排出されにくく、不断に細胞に対する悪影響を及ぼしつづけることによってガンを発生させる。(「1章 体内時限爆弾」より)
はじめに
1章 プロローグ -- 展望
一 無知なるが故に/二 アスベストは魔法の物質か/三 体内時限爆弾/四 アスベストの歴史/五 アスベスト災害/六 アスベストの生産と消費/七 環境中のアスベスト/八 一般人のアスベスト曝露/九 アスベストの環境行政/十 アスベストへの各国の対応/十一 われわれは安全なのか
2章 現代の犠牲者たち
一 アメリカの犠牲者/二 日本の犠牲者/三 イギリスの犠牲者/四 オーストリアの犠牲者
3章 アスベストとは -- 奇跡の物質か悪魔の物質か
一 鉱物としてのアスベスト/二 アスベストの利用/三 アスベストの毒性
4章 キラー・ダストの中で -- 労働者の健康障害
一 アスベスト災害の歴史/二 アスベストの労働災害の実態/三 ケース・スタディ/四 労働者はどのようにして汚染されるか/五 アスベスト問題と第三世界
5章 日常生活の汚染
一 アスベストの低濃度曝露/二 日常生活を脅かすアスベスト/三 身近かなアスベストにどう対処するか/四 アスベスト環境汚染の意味
あとがき
引用文献/索引
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【関連書籍】
『 交通事故はなぜなくならないか 』 ワイルド著 (定価3675円 2007)
『 安全・安心の心理学 』 海保博之・宮本聡介著 (定価1995円 2007)
『 環境的公正を求めて 』 戸田清著 (定価3675円 1994)