出版社内容情報
ハンス・ショル。一九一八年九月二二日生れ。一九四三年二月二二日処刑。ソフィー・ショル。一九二一年五月九日生れ。一九四三年二月二二日処刑。二つの名前。二つの運命。・・・・・・何千という人間が考えていたことを、二人の人間がはっきりと語った。ことに政治的な素養をもち、芸術、信仰、学問の分野に、人間的な反体制勢力が残存することを感じていた若い、学生、生徒たち。彼らは、頭を雲のなかにつっこみ、現実を無視して、精神上の問題だけを論じることは許されない、今、ファシズムの支配下にあるこの日常のなかで抵抗の意思を明確にせねばならぬと意識していたのだ。二人の語ったことばは、その美的価値そのものによってすでに反体制活動たりえている。・・・・・・・しかし何よりも彼らの書簡は率直であり、はじけるような生気にあふれ、文学性にみちている。二人は明らかに気をつけてことばをを選び、上手に書いてやろう、などと考えてはいなかった。二人の手紙はむしろ、生き生きとしたおしゃべりの精気を漂わせている。まさにこの性格こそ、国家社会主義体制下で反体制的な意識をもっていた若い人間が何を感じ、考えていたかを知るに最適といえる。それらの若者のなかから、読書、瞑想、友との対話によって、国全体が閉じ込められていた隔離状態を脱する者が生れたのだ。彼らはもともと私的な領域でだけ通用していた理屈としての反体制モデルから、一般の人びとにまで及ぶ、社会全体の解放をめざす政治活動を生み、育てた。(「まえがき」より)
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【関連書籍】
『 戦争が遺したもの 』 鶴見俊輔、上野千鶴子、小熊英二著 (定価2940円 2004)
『 記憶・歴史・忘却 上下巻 』 P・リクール著 (上巻5565円 下巻4725円 2004-05)
『 彼ら抜きでいられるか 』 H・J・シュルツ著 (定価4725円 2003)
内容説明
ヒトラー打倒の声をあげ、21歳の若さで断頭台に命を絶たれたソフィー・ショル。星のごとくきらめいて散った青春のことば。
目次
ハンス・ショルの書簡と手稿
ソフィー・ショルの書簡と手稿
著者等紹介
山下公子[ヤマシタキミコ]
本名、村上公子。1952年香川県高松市生れ。1975年上智大学外国語学部独逸語学科卒業。1976年から1977年、DAAD交換留学生として西ドイツ、ボンに滞在。1980年東京大学大学院博士課程(独語独文学専攻)中退。早稲田大学人間科学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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