内容説明
父が語り、息子が書く。「俺の生命を救ってくれたバタ屋のお爺さん。俺の神様がある朝、冷たくなっていた」「銃弾が一発も飛んでこない場所で母親の手で殺される赤ん坊。これが戦争の本質だ」「もしも俺の子供が人を殺したら、俺は裁判長に言う。死刑にしてくれと」「人は子供を産んだから親になるのではない。子供に選ばれて初めて親になるのだ。俺は信じている。子供は判断できる、と」団塊の世代へ。リング無き10代たちへ。きみへ遺したい。「俺は戦争孤児であることを、夜間中学卒業生であることを、敗者であることを誇りに思う」。
目次
序章 旅のはじまり(高野大)
父の遺書(高野雅夫)(オキナワの胸俺たちの背中;教育は再生するか?;敗戦の日 ほか)
僕たちの新書(高野大)(父の遺書、僕たちの新書;イエローカードレッドカード;美しい国とは何か? ほか)
終章 最後の必然を生きる(高野雅夫)
著者等紹介
高野雅夫[タカノマサオ]
1939年旧満州生まれ。父戦死、難民の群れで母と死別。戦争孤児となり、博多の闇市、上野公園、山谷などを流れ、バタ屋のお爺さんから文字とコトバを学ぶ。21歳で荒川九中夜間中学に入学、24歳で卒業。67年より夜間中学廃止反対・創設運動に奔走。98年ソウル大学に語学留学。その後、韓国での文解(識字)教育運動に参加、日韓の教育現場で「コヤシの思想」と生き方を問い続ける。著書に『夜間中学生タカノマサオ 武器になる文字とコトバを』『タカノマサオ2 夜間中学から朝鮮半島へ』(共に解放出版社)、2作のハングル訳版(ポムウサ)など。93年度東京弁護士会人権賞受賞
高野大[タカノダイ]
1967年岩手県生まれ。喘息のためほとんど学校に通えず、独学で創作を開始。12歳で物語詩『ミラージュの森』(修羅書房)、15歳で『想の裁き』(筑摩書房)を発表。85年作家で兄の生と共に10代のメッセージマガジン『ヒストリーズラン』(マガジンハウス)を企画・創刊。強制廃刊後、『復活3部作』を自主発行。現在はベルギーの独立系文学誌『INEDIT』に詩を寄稿するなど、創作活動を続ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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