内容説明
タイ・ビルマ国境の町メソット。ビルマ軍事政権の弾圧を逃れてタイにやってきたものの、お金がなく、病院に行くことができない難民や移民に、無料診察を続けている診療所「メータオ・クリニック」。自身もカレン難民である院長のシンシア・マウン医師と診療所の20年以上にわたる取り組みを紹介する。
目次
プロローグ 1988年、ビルマ
1 ある女医の物語
2 国境なき愛―ボランティアたちの物語
3 タイ・ビルマ国境を訪ねて
4 難民画家―マウンマウンティンの絵画と詩
5 日本人医療ボランティアスタッフ―看護師・梶藍子の報告
著者等紹介
宋芳綺[ソウホウキ]
1964年、台湾・高雄市生まれ。台湾国立成功大学中国文学科卒業後、新聞記者、中学校教員、編集者などを経て、現在、フリーライター、保育師
松田薫[マツダカオル]
1986年、北海道生まれ。2009年、早稲田大学法学部卒業。在学中より、中国と中国語に軸を置いた活動を行なっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ののまる
15
日本とも戦時から関わりの深いビルマ(現ミャンマー)なのに、ノーベル平和賞ノミネートのシンシア・マウン医師のことを今まで知らなかったことが恥ずかしい。私も最近、草の根で社会のために活動する人々に会う機会があるのだけど、本当に誰も功名心や虚栄心もなく、ただひたすらに自分の持てる力を弱者のために使いたいという一心さに打たれます。ミャンマーは民主化が進むように見えて、旧来の軍事政権であることに変わりはないし、難民キャンプのカレン族の困難と貧困もすぐに改善されるわけではない。2016/10/09
貧家ピー
10
1989年にタイ北西部・メソットに設立された、ミャンマーからの難民ー軍事政権による迫害・弾圧などによってタイに逃れて来た人々、貧困で国内で医療を受けられない人ーに、無償で医療を提供し続けるメータオクリニック。立ち上げ・運営してきたシンシア・マウン医師とクリニックを紹介する。 医療を直接提供する苦労だけでなく、後進を育てる・移動医療団ー「バックパック医療団」の構築など、すそ野を広げる努力も素晴らしい。 難民がミャンマーでの平和な生活を取り戻せると良いが、軍事政権後でも、あまり変化はないのかもしれない。2020/11/30
鈴崎唯子
7
難民に無料診察を続けている、シンシア・マウン医師の20年以上の活動を記した一冊。ビルマ軍事政権の弾圧によって、自身も難民であるシンシアは、貧しい人たちへの医療の必要性を感じ、難民の集う町に向う。ジャングルを抜け、ゲリラ部隊の支援を受けながらの逃亡。激しい乗り越え、国境の町に診療所を作った。スタッフの育成、感染症の治療、堕胎や避妊の普及。それまで、病気になると祈祷しかなかった人々に、シンシアは適切な医療処置を行っていく。貧困が生む未曾有の事態に、微笑みを絶やさず、立ち向かうシンシア一行に胸を打たれる一冊。2020/06/15
OMO
1
面白さ:○ 興味:○ 読みやすさ:○ 新鮮さ:○ 文学的云々:×2020/07/28