内容説明
半世紀をはるかにこえる「昭和」。戦争に始まり、その破壊の中から巨大な産業化をなしとげた激動期。それは障害を持つ者およびその家族にとっていかなる時代であったのか。本書は、新聞報道を通じて、一人ひとりがたどらざるをえなかった「ころし」の情況と構造を明らかにする。それを通じて、障害を持つ者およびその家族が、「悲惨」と「絶望」の淵から、自己の存在肯定の門口に立つことになったと本当に言えるかどうかを、鋭く問う。
目次
第1章 障害の者の生とその空間
第2章 〈ころし〉の情況と構図
第3章 〈健全者〉幻想のくずれるとき―自殺と心中
第4章 おんな・はは・かいご者
第5章 判決の構造
第6章 〈被差別〉の暴発
終章 資本制社会の人間配置と障害の者―一つの理論的想定として
付論 軍人の時代と病弱者