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「少女小説」の生成―ジェンダー・ポリティクスの世紀

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  • サイズ B6判/ページ数 356p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784787292155
  • NDC分類 910.26
  • Cコード C0095

内容説明

欧米には見られない独特なジャンルである「少女小説」。明治末期から現在までの少女小説の物語構造を代表的な作品やジュニア小説・コバルト文庫、マンガ、ラノベを素材に読み解いて、時代ごとに変わる“少女像”や少年/少女の分割線の変容をあぶり出す。そして、明治末から百年間にわたり受容されてきた少女小説がはらむジェンダーの問題系を解明する。

目次

少女の世界―二十世紀「少女小説」の行方
第1部 “少女”の成立/「少女小説」の誕生(無垢な「天使」の物語―西欧近代の少女たち;メディアにおける“少女”の成立―雑誌「少年園」をめぐって;「少年世界」における若松賎子の創作―少女小説の開始 ほか)
第2部 少女セクシュアリティの表象/「少女小説」の展開(構成される少女1―少女雑誌の創刊と少女セクシュアリティの発見;構成される少女2―少女小説ジャンルの形成と友愛物語;馴致されるセクシュアリティ―モダニズム期前後の少女雑誌 ほか)
第3部 少女文化の変容/水脈としての「少女小説」(昭和戦前期から戦後へ―少女文化の変容;少女小説から少女マンガへ―ジャンルを超える表現;ライトノベルとジェンダー―少年少女の出会いとその陥穽 ほか)

著者等紹介

久米依子[クメヨリコ]
東京都生まれ。日本女子大学大学院文学研究科日本文学専攻博士課程後期単位取得退学。現在、目白大学教員。専攻は日本近代文学、日本児童文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

シルク

11
非常に面白かった。面白いもんだからじっくり読むと、ぽろ、ぽろと、考察が粗いところも何点か見えてきてしまったけれど、それでも全体的な評価は高いように思う。「少女小説」という言葉で、思い浮かべられるものは、実は千差万別。世代により、またそれぞれの読書経験により、異なってくる。ある人はその言葉を聞くと、「赤毛のアン」や「小公女」etc、「翻訳少女小説」とも呼ばれたりもする、翻訳ものを思い浮かべるかもしれない。またある人は、吉屋信子等が描いた耽美的な、少女同士の友愛物語を思い浮かべるかも。また、ピンクの背表紙の→2019/08/10

幸音

8
趣味丸出しで借りた大学図書館本。「若草物語」や「小公女」などのような小説については家庭小説と呼ばれていたこと、少女小説の概念が「少女が読む物語」ではなく「少女が登場する物語」だったことを初めて知った。家父長制の下、唯一許された少女同士の友愛という形で表現されたのが当時の少女向けの作品の特徴だった。また「花物語」の吉屋信子について論じられていて興味深く読んだ。川端康成の「乙女の港」が元々は彼の作品ではなく中里恒子という作家の作品だったとか。男性作家にとられた少女小説。2014/01/09

8
レポート用に読了。必要な部分だけ読もうとしていたのに、つい全部読んでしまった。少女小説の誕生から現代のライトノベルまで取り扱われた本。近代において少女がどのような扱われ方をしてきたのか、など興味深かった。2014/01/04

飴玉

4
少女小説は少女のためのもの。異性から見た「少女はかくあるべき」という魅力は描かれている。一方、自由恋愛を防ぐために、恋愛対象となる男性の描写を排除していた。良妻賢母を育む意図を秘めた少女小説に、異質の風を吹き込んだのが、少女間の友愛に真理を描こうとした吉屋信子。その吉屋も戦争が始まると特派員として戦地へ赴き、軍の大義を支持する「理想的な愛国女性」のシンボルとなった。最後には現代ラノベ考察も。ハルヒものをジェンダー論的にぶったぎっていて、的を得ていた。(それでもハルヒものはおもしろいけれどね。)2016/08/13

ガジ

2
他の大学でお世話になってる先生に「その議論なら久米さんがあった方がいい」と言われて再読。やっぱり3篇は面白いと思えないんだけど、8章の少女雑誌の節目の指摘とか、6,7の構成される少女で具体的に少女像検討してるの良かった。2022/12/29

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