内容説明
地下鉄サリン事件や神戸連続児童殺傷事件で急速に広まり語られるようになった「心の闇」。1990年代の犯罪をめぐる新聞報道を詳細に追い、その語りを「動機の語彙」という視点から読み解いていく。そして、「心の闇」という言葉が犯罪とどう結び付き、その行為主体=「犯人」のイメージをどう作り上げたのかを、行為と動機の関係性から分析する。2000年代の犯罪報道ではすでに常套句と化している「心の闇」。しかしその言葉は、他者の理解しがたさを強調することで自己と他者の結び付きに亀裂をもたらしている。「心の闇」に私たちの社会は何を見ようとし、またそれを語ることでどのような可能性を排除してきたかを問い、他者との関係性をどう再構築していくのかを明らかにする。
目次
第1章 「心」を「闇」として語るということ(犯罪報道と秩序意識;「動機の語彙論」という視点 ほか)
第2章 「心の闇」の浮上―酒鬼薔薇事件(一九九七年)までの新聞報道から(「闇」として語られ始めた「心」;露出する闇―地下鉄サリン事件(一九九五年) ほか)
第3章 「動機」が「わからない/わかる」と言うこと―「酒鬼薔薇聖斗」をめぐる大学生たちの語りから(「心」は本当に「闇」のなかなのか?;「「どうして」を教えて」―ある新聞記事に基づく“問いかけ”の試み ほか)
第4章 「心の闇」の定着―一九九八‐二〇〇〇年の新聞報道から(リンクの広がりとイメージの定型化―一九九八‐九九年;母親たちの「心の闇」―音羽幼女殺害事件(一九九九年) ほか)
第5章 対話としての動機の語り(“他者”との遭遇;「物語モード」と「論理‐科学的モード」 ほか)
著者等紹介
鈴木智之[スズキトモユキ]
1962年、東京都生まれ。法政大学社会学部教授。専攻は理論社会学、文化社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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