内容説明
戦後の歴史教育では「家永教科書裁判」や「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書問題など、私たちの歴史観や歴史認識を問う問題が繰り返し議論されてきた。しかし、「ジェンダーの視点からの歴史教育や歴史教科書の見直し」はほぼおこなわれてこなかったといっていい。本書では、日本やアメリカの歴史教科書、はては科学史やミュージアムの展示方法。少女マンガまでをも射程に収め、国際比較や精緻な読み込みをとおして、歴史教育におけるジェンダーの欠落とそれをどう補うべきかを具体的に考察する。現代日本の歴史教育をジェンダーの視点から見直し、その視点を歴史記述・教育にどのように織り込むべきかを真摯に探る問題提起の書。
目次
第1部 教科書を中心に(ジェンダー視点による高校世界史教科書の書き換えに向けて―アメリカの教科書から考える;古代ギリシアの社会をジェンダーの視点から読み解いてみる;奴隷貿易にジェンダーの視点をクロスオーバーさせる;アジア史教育とジェンダー;高校世界史教科書にみるジェンダー;高校の日本史教科書にみるジェンダー;女性史・ジェンダー史の成果は教科書に生かされているか―日本近世の場合)
第2部 文化・サブカルチャーを中心に(歴史教育の役割―「歴史」と「自分」を架橋するために;世界史の「周辺」におけるジェンダー―「トラフィッキング(人身売買)」と、従軍慰安婦非難決議
科学史教育とジェンダー
ジェンダー史と歴史教育
ミュージアムとジェンダー―展示による経験の可視化をめぐって
「女たちは歴史が嫌い」か?―少女マンガの歴史ものを中心に)
著者等紹介
長野ひろ子[ナガノヒロコ]
1949年、茨城県生まれ。中央大学経済学部教授。専攻は日本経済史、ジェンダー史
姫岡とし子[ヒメオカトシコ]
1950年、京都府生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科教授。専攻はドイツ近現代史、ジェンダー史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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