内容説明
合格や商売繁盛を祈願する、お守りを身につける、節分で豆を撒く、運勢を占う、北枕を避けるといった行為は、必要不可欠ではないにもかかわらず、私たちの日常生活に浸透している。必ずしも宗教には位置づけられないこれらの呪術的行為は、どのような人々によって、どのような意識に基づいておこなわれているのだろうか。東京都二十三区での調査をもとに、現代社会に息づく呪術意識を浮き彫りにする、
目次
「呪術」へのまなざし
調査の概要とデータの特性
調査結果概要
東京都二十三区の呪術的傾向
行事・慣行の現代的意味
墓参りと現世利益
お守りを捨てられますか
「占いブーム」の現在
若年層の「呪術」とその特徴
神棚的秩序と仏壇的秩序
運命と呪術
祈願に対する効果意識
呪術的諸要素の特性空間
生活意識と呪術的なるもの
著者等紹介
竹内郁郎[タケウチイクオ]
東京大学名誉教授。専攻は社会学
宇都宮京子[ウツノミヤキョウコ]
東洋大学社会学部教授。専攻は理論社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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HANA
15
呪術といってもそれほどおどろおどろしいものではなく、節分とか初詣、墓参りや占いといった日常で体験するようなものが扱われている。それぞれの項目について分析はされているものの、どちらかと言えばデーターベース的な役割の方が多いと思う、この本。老人と若者、男と女によって呪術の需要の仕方が違う点は興味深い。また仏壇のある家は呪術に対して否定的であるが、神棚のある家は肯定的といったような他ではなかなかわからないような分析も面白い。この研究、興味深い点が多いのでいろいろ拡げていってもらいたいものです。2012/06/06
akinbo511
9
呪術と言っても、初詣や豆まき、雑誌の占いまでを含む調査結果を考察したもの。20代30代男女の占いや姓名判断を信じる度合いが学歴で別の傾向を示しているのが不思議だった。 2014/02/17
佐倉
6
かなり専門的な学術調査の結果と分析のまとめで、そこから論考を展開していくという趣旨でも無いので読みやすくは無い。ただ呪術的なものへの人々の意識調査をこんなにも真面目に調査することは空前絶後なのではないか。日本は近代社会であるように見えて、実のところ生活に多くの呪いが溢れている…というのは多くの人が納得するだろう。その俗論の先に踏み込んだことに価値がある。仏壇、あるいは神棚のみを持つ人はそれぞれ呪いへの意識が違うとか、男性は占いを信じない人が多いのに高学歴になると急に信じる人が増えるとか面白い結果もあった。2022/07/19
mittsko
3
かなり前に読んだが感想を記録してなかった ⇒ 東洋大学社会学研究所による、現代日本における呪術の意義と行動に関する社会調査の成果。研究期間は十年余との由。東京二十三区の成人住民1200人を対象に(回収率60.3%)2006年1月、質問紙法によって調査、結果に統計分析をほどこす。この種の調査でこの規模のものは見たことがない。おかげで、大変有意義な結果がてんこ盛りに出てきているので(コメント欄参照)、関心をお持ちの方には、一読をつよくおすすめします…( ̄▽ ̄) ※ 本書独自の呪術概念も注目に値する2023/08/25