クリティーク叢書<br> 性への自由・性からの自由―ポルノグラフィの歴史社会学

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クリティーク叢書
性への自由・性からの自由―ポルノグラフィの歴史社会学

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  • サイズ B6判/ページ数 204,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784787231246
  • NDC分類 367.9
  • Cコード C0330

出版社内容情報

ポルノグラフィ──受け手を性的主体として産出し構成する、セクシュアリティの装置。その技術・演出の存立と社会的・歴史的変容を緻密な言説分析によって具体的に読み解く。「セクシュアリティの近代」を再考し、脱構築する試み。

まえがき

1 ポルノグラフィをめぐる言論状況
2 多元的現実論と言説分析
3 ポルノグラフィの誕生 『ファニー・ヒル』
4 性科学とポルノグラフィ
5 「ポルノグラフィ有害」論とオナニー問題
6 二十世紀におけるポルノグラフィの勃興
7 セクシュアリティの装置による服従=主体化
8 セクシュアリティの装置としてのポルノグラフィ
9 日本のポルノグラフィ
10 現代日本のポルノグラフィ アダルトビデオのポリティクス

あとがき
参考文献

内容説明

ポルノグラフィという性的現実―受け手を性的主体として産出し構成する、セクシュアリティの装置。その技術・演出の存立と社会的歴史的変容を、緻密な言説分析によって具体的に読み解く。

目次

第1章 ポルノグラフィをめぐる言論状況
第2章 多元的現実論と言説分析
第3章 ポルノグラフィの誕生
第4章 性科学とポルノグラフィ
第5章 「ポルノグラフィ有害」論とオナニー問題
第6章 二十世紀におけるポルノグラフィの勃興
第7章 セクシュアリティの装置による服従=主体化
第8章 セクシュアリティの装置としてのポルノグラフィ
第9章 日本のポルノグラフィ
第10章 現代日本のポルノグラフィ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

きいち

14
もしポルノがなかったら、自分の性的趣味を言語化することは考えにくい。そしてその趣味と、相手のいる現実にはギャップがあることを「当たり前」と笑い飛ばせるのは、ポルノが「ファンタジー」を供給してくれているからかも。それは確かに、恋愛の主体や生殖の主体とは別に、「性的主体」を確立すること。「性への自由」がない社会で性犯罪が多いのは、そのギャップが抑圧されてしまうからだろう。有害図書規制は、かえって有害だな。◇一方、「性からの自由」。この本ではアイデアの提出のみだが、展開可能性がとても大きなアイデアだと感じた。2013/05/02

富士さん

4
ポルノを欲情させるための物語としてだけでなく、自分が欲情すべきものを学ぶ物語として、転倒して捉えるのはおもしろい切り口でした。そのためには教えられる主体が不動なものとしてなければならないため、本書では主体を前提とする告白調の作品からポルノの歴史を描いており、そして主体からの視線を採用しない春画に特殊性を見ているのだと理解しました。しかし、主体云々を言い始めると簡潔なポルノの定義は適応しづらくなり、はじめのフェミニズム的、実在的ポルノ観への批判とのつながりもつかめなくなり、どこかモヤモヤ感が残りました。2021/05/20

kenitirokikuti

3
1996年刊行。「猥褻(=ポルノグラフィ)有害」論…1868英クイーン対ヒクリン判決。猥褻物はひとを腐敗堕落させる、と定義した。「猥褻反価値」論…1957米ロス判決。好色的な関心に訴え、しかも埋め合わせとなる社会的価値がない▲逆に、猥褻表現は、性的なタブーを表現する自由とする立場▲フェミニズムの「反ポルノ」論。猥褻否定のうえ、女性に対し差別的暴力的な表現一般がポルノとする。ラディカルフェミ運動で採用されがちなのは、現存する性表現は全て女性差別表現であるポルノであり、また現実の反映とする(ファンタジーでない2017/07/05

伊野

3
初版が1996年8月とやや古く、例として挙げられる作品等も寡聞にしてほとんど知りませんでしたが、フーコーに基づく通底する思想〈自己のアイデンティティーを再認するためのポルノグラフィ〉は現代に通ずるものがあると思います。ポルノグラフィが他者に対する偏見材料になりうるのでは、と考えることはあっても、自己を再認識する材料になり得るとは思い至りませんでした。しかし、「AVオナニ-空間」という表現はなかなか直球ですね。あと、あとがきで筆者の思想の根拠が知れたのも勉強になりました。2011/11/01

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