内容説明
４３ヵ国にわたる６０政権、３００曲の愛国歌・国民歌・戦時歌謡・闘争歌・革命歌・労働歌・郷土歌・宣伝歌。ミリタリー音楽大全。
目次
第１章 ナショナリズムの目覚め（フランス革命―ラ・マルセイエーズ；フランス革命―進発の歌 ほか）
第２章 国民国家の盛衰（英国―希望と栄光の国；英国―家の火を絶やさないで ほか）
第３章 イデオロギーの時代（ソヴィエト連邦―ポーリュシュカ・ポーレ；ソヴィエト連邦―コミンテルンの歌 ほか）
第４章 総力戦体制の完成（ドイツ―イギリス征討歌（水兵の歌）
ドイツ―英国を爆撃せよ！ ほか）
第５章 多極化する世界（米国―陸軍は進んで行く；米国―朝鮮の勝利を神に感謝せん ほか）
著者等紹介
辻田真佐憲［ツジタマサノリ］
１９８４年生まれ。慶應義塾大学文学部卒。中学生来、世界各国の軍歌の類を蒐集し続けている。ヒトラー関連本を渉猟するナチスマニアでもある。近代ナショナリズムが既往の歴史や価値観を恣意的に再編していく過程に関心を持つ。ウェブサイト「西洋軍歌蒐集館」を運営中（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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ころこ
38
新書ばかり出版している著者の主著は何か。主著なしでこのまま活動を続けるのかということに疑問を持っていましたが、恐らく本書が主著なのだろうと思います。世界の軍歌を蒐集しています。特徴と問題点があります。蒐集するだけで論じている本ではない。日本の軍歌が無いのは、類書が既にある一方で本書に類する本が無い。著者の色を出さないこのことがかえって著者の思想を反映していて、後世にこの本が残ることになるかも知れません。音楽の本の問題点は、歌詞はあれど音楽は無いことに尽きます。再現性が乏しいのは他で補うことにします。2021/12/08
やまやま
15
国家と軍は強い関係がある（というか、国家を維持する機能として軍は編成される）ために、国歌も何点か軍歌として紹介されています。インターナショナルも軍歌かな。あらためてフランスや米国の国歌の歌詞を読みますと、建国のイデオロギーは大衆にはこのように受け入れられたのだ、と腑に落ちてしまうのは、何度も聞いてきたからかもしれませんが。あえて日本の軍歌を選曲していません（コラムにはありますが）。金日成将軍の歌から、三代ならべての顔を思い浮かべますが、私だけではないようで、ウェブにはコラージュされた写真も多いですね。2021/12/21
CCC
9
世界軍歌とあるが西洋と共産圏がほとんど。愛国歌なども入っている。敵意と戦意高揚、賛美と連帯意識の世界。おおよそパターンが定まっているが、時折そこからはみ出したものが見られるのは面白い。『フランダースの野に』は美しい風景に死者の視点を持ち込むことで独自の情緒が生まれていたと思う。最後に戦いの継続を訴えるのはもはや呪いだが、そこも含めて好き。フランスの親ナチ反共勢力による『悪魔の唄』も笑えるという意味で面白かった。ついに悪魔と手を組み出して、デスメタの歌詞みたいになっている(ただし合言葉は忠誠)。2023/08/07
古本虫がさまよう
4
日本の軍歌はあまり出てこないが、世界中の軍歌（共産圏の革命歌も当然軍歌）の原語（翻訳）が収録されている。ﾋﾄﾗｰ、毛沢東やﾌﾗﾝｺや金日成や金正日などの「独裁者」を讃える軍歌はむろんのこと、ソ連の「ポーリュシュカ・ポーレ」も軍歌だったとのこと。てっきりロシア民謡かと思っていたが？ 「平原よ、平原よ」で始まりつつも、「われらが大地を赤軍の英雄たちは駆け抜ける」「潜水艦は疾駆して、艦船が警戒体制に着く」といった歌だったとか？ 昭和４６年頃にこの歌を仲雅美が歌っていたが、彼は共産党の回し者だったのか(笑)。2018/02/28
臓物ちゃん
4
これは助かるべや！軍歌とか言いながらアクション・フランセーズの歌まで入ってる。俺のお気に入りは、キリストが英国にやってきたというすごい内容の「エルサレム」と、語路がいい「党、チャウシェスク、ルーマニア」。訳の漢字も格好いいんだよねこれがまた。2014/03/16
