出版社内容情報
1998年に急増し、3万人台を突破した日本の自殺者数は、その後今日まで3万人台を割る
ことはない。特に50代、60代の初老期の自殺者数の増加が際立っている。
なぜ初老期の人々は死に急ぐのか?精神医学的に何が起こっているのか、社会・心理的状況、
予防と対策は。
各領域の専門家が現代日本社会に生きる初老期の人々が直面している緊急な課題を考察する。
【目次】
■座談会/「死に急ぐ初老の人々への理解と援助」について
(張 賢徳/河西千秋/白井幸子)
■現代日本における初老の人々の自殺の現状
・救命救急センターを受療する五十代・六十代の自殺企図者
―現場からの報告と自殺企図者をめぐる救急医療の問題 (河西千秋)
・老年期の自殺の疫学 (高橋邦明)
・老年期の自殺とその家族的背景 (松本寿昭)
■初老の人々はなぜ自殺をするのか
・精神医学的要因 (松井健夫/張 賢徳)
・うつ病の精神病理と自殺―初老期・老年期の症例を通して (松浪克文/飯田由美)
・初老期の人々はなぜ死に急ぐのか―心身医学的な立場から (江花昭一)
・精神・心理的要因について (白井幸子)
・わが国の自殺死亡をめぐる状況断面と公衆衛生施策 (谷畑健生)
■初老の人々の自殺―その予防への取り組み
・老年期の危機と自殺予防 (高橋祥友)
・老年期のうつ病の精神療法 (大森健一)
・精神・心理療法 (野間和子)
・老年期の心理臨床 (松田 修)
・自殺予防とスピリチュアルケア (堀 肇)
・仏教界の取り組み (藤井正雄)
・秋田県の自殺予防対策 (板波靜一)
・感動体験と共に息を吹き返した二人の女性
―ホスピタル・コンサート十七年を振り返って (藤井 哲)
・佐久総合病院老人保健施設での取り組み (若月健一)
・自殺予防といのちの電話―危機もまた高齢化している (斎藤友紀雄)
・自殺予防とインターネット (田村 毅)
・自殺と後治療 (大西秀樹)
・社会福祉の新たな挑戦―老いの坂を登りゆく道程に寄り添う (市川一宏)