出版社内容情報
内容紹介
日本におけるキリスト教の宣教と受容を新資料の検証を通して解明した力作。経典成立史、新造語の成立経緯などの原理的な問題から、浦上信徒総流罪に対する長崎外国人居留地の英字新聞や宣教師の書簡の解明、さらには上海租界地の宣教、内村鑑三と英字新聞の論争などを通して西洋文明が東アジアに与えた衝撃の一端を明かす。
内容説明
本研究の意図は、明治期日本へのキリスト教宣教と受容をめぐる諸問題を、異文化接触・交流の一事例として、日本と西洋の相互方向から実証的に検討することにある。この検討は、日本の側から見れば、その近代化の意味を問い直すことにもなろう。本研究では、キリスト教宣教の問題をより広い比較文明史的視角から、すなわち西洋と東アジアの両文明の接触と相互認識の過程としても考察するように努めた。
目次
第1篇 明治初期キリスト教教典の成立史(『聖教初学要理』と『聖教日課』の成立史と典拠;『弥撒拝体式』の典拠;阿部真造著『告解式』の典拠と編集意図 ほか)
第2篇 キリスト教の宣教と受容の根本問題(浦上四番崩れにおける宣教師の論理と信徒の信仰構造;浦上四番崩れに対する外国人居留地の反応―英字新聞とCMS宣教師の見解を中心に;天津教案に対する外国人居留地の反応 ほか)
資料篇(パジェス版『コリャード懺悔録』へのフランス語書き入れ;神原文庫所蔵、奥野昌綱手沢本『馬太伝福音書』の改訂書き入れ草稿;長崎関係CMS資料:解説とエンソー書簡の翻刻)