出版社内容情報
本書は、幕末期、西欧科学技術導入が最も進んでいた佐賀藩の藩主鍋島直正の側近として活躍した本島藤太夫松蔭の編著で、杉本博士を中心とする「西南諸藩洋学史研究会」が翻刻、解説、異本との校訂など十年の歳月をかけて完成したものである。翻刻にあたり佐賀県立図書館鍋島文庫所蔵本(全4巻)を底本とした。
感想・レビュー
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幕末佐賀藩は名君・閑叟公のもと富国強兵に邁進し、薩長土雄藩と共に明治維新を成し遂げる一翼を担った。当時の佐賀藩の技術力は特筆すべきものであり、日本で初めて鉄製大砲の鋳造を成功させた。しかし明治期、佐賀は政権を追われ、結果勃発した佐賀戦争の後は反乱の責務を負い、長崎県に併合されるなど辛酸を舐めた。本書は、幕末佐賀藩の大砲鋳造計画のリーダーとして活躍した本島藤太夫が日々の研究や実験の詳細を書き留め、閑叟公の功績を世に残さんとした資料である。刊行は明治17年、佐賀県が長崎県からの独立を果たした翌年である。