内容説明
「現代詩手帖」好評連載「偽記憶」と、同誌に一挙に掲載されて話題を呼んだ長篇詩「かはづ鳴く池の方へ」が、『わが出雲・わが鎮魂』への自らの回答として合わせ鏡のようにひとつに綴じられる。仮構された故郷への10篇の「思ひ出」、隠岐の島に重層化された後鳥羽院にまつわる「虚」―入沢康夫の屹立する現在。
目次
かはづ鳴く池の方へ(旅の始まり;伝承―引用の織物;考証―引用のモザイク;旅路の果て)
偽記憶(海辺の町の思ひ出;大きな峠の思ひ出;藁の蛇の思ひ出;理髪店のラヂオの思ひ出;山あひのプラットホームの思ひ出;廃坑の入口の思ひ出;白い木箱の思ひ出;町はづれの堀川の思ひ出;ある「地獄巡り」の思ひ出;山麓の石原の思ひ出)