内容説明
吉岡実は何を思って戦地へ向かったのか?田村隆一はどこで終戦を迎えたのか?戦後の詩による第一声はどこで発せられたのか?詩の新しい時代をつくりだそうとする若者たち、混沌のなかで詩を必要とした若者たち、ひとはなぜ詩を求めるのか―激動する詩の運動の現場に立ちつづけた著者が、自らの体験を軸に若き詩人群像を生き生きと描きだす。埋もれていた珠玉の作品も多数収録。
目次
第二次大戦下の若い詩人たち
ファシズムの爪痕
詩人たちの八月十五日
戦後詩誌の夜明け
「レエニンノ月夜」の波紋
死の影を背負って
「無名なるもの」として
「詩とは爆弾である!」か
田村隆一との再会
vieの犬〔ほか〕
著者等紹介
平林敏彦[ヒラバヤシトシヒコ]
1924年横浜市生まれ。戦中に詩作をはじめ、「若草」「文芸汎論」「四季」などに発表。戦後、同人誌「新詩派」「詩行動」「今日」を創刊。第一次「ユリイカ」創刊同時の編集に携わる。詩集に『磔刑の夏』(93年、第五回富田砕花賞)、『舟歌』(2005年、第二十三回現代詩人賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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午後
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「新詩派」「詩行動」「今日」など、数々の戦後詩誌を主導してきた詩人、平林敏彦による、戦後間もない頃から50年代の激動の時代の最中に、詩的情熱に滾る青年たちの姿を描いた回想録。「新詩派」の刊行や存続にあたっての苦難や、同時代の詩人同士の交流の様子など、当事者ならではのエピソードが多く書かれていて興味深い。また、戦後初の詩誌「鵬」や、「純粋詩」「荒地」「地球」「列島」など戦後間もなく勃興した詩誌群だけでなく、戦前の萩原恭次郎らの「赤と黒」等の詩誌にも言及されている。当時の詩に対する問題意識を知る上でも面白い。2021/06/07