内容説明
本書は20世紀最後の10年間に行き渡った、環境の危機に対する深刻な問題意識への応答である。この面白く読めて、刺激にとんだ研究書の中で、キャロリン・マーチャントは環境問題の主要な哲学的、倫理的、科学的そして経済的な根を調べ、ラディカルなエコロジストはどのようにしたら地球上の生命の維持・存続のために科学と社会を作り変えることができるかを研究する。
目次
第1部 諸問題(全地球的なエコロジカルな危機;科学と世界観;環境倫理と政治的衝突)
第2部 思想(ディープ・エコロジー;スピリチュアル・エコロジー;ソーシャル・エコロジー)
第3部 運動(緑の政治;エコフェミニズム;持続可能な開発)
結び ラディカル・エコロジー運動
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みか
1
現代のエコロジー思想の主流である、ディープ・エコロジー、ソーシャル・エコロジー、スピリチュアル・エコロジーの三派について丹念に解説し、それぞれの限界性や課題を指摘しています。その上で、これを乗り越える思想して、マーチャントはラディカル・エコロジーを提唱。表題は、ラディカル・フェミニズムを意識してつけられたのでしょう。2009/07/22
ヒナコ
1
辺野古への基地移設をめぐる住民投票の結果を受けて、本著に目を通してみた。 人間を生態系の外に出さず、ヒトの永続的な存続は他の種の存続に依存しているという基本的な理念が、ホッブス・デカルト・ベーコンらの近代的でジェンダー化された認識論の中でいか正当化され、忘れ去られてきたかという思想史解釈は面白かった。 また、社会主義的なエコロジーの発想として、労働力を使えば使うほど、労働者の生きるための環境は悪化し、全体としての利用可能な労働力の質は下がるという矛盾の指摘は、「住みやすい社会」のための不可欠な視点だろう。2019/03/07