出版社内容情報
清義明[セイヨシアキ]
著・文・その他
内容説明
サッカーとナショナリズムは強い親和性をもつ。スタジアムは世の中の縮図である。いいことも悪いことも、スタジアムで起きたことは世界に波及する。本書では、サッカーに魅了され、知らぬうちに翻弄される人々と、それでもそこから見いだされる希望のようなものについて、フィールドワークの成果を報告する。
目次
第1章 モンスター化した「ぷちナショナリズム」
第2章 ソウルに翻る旭日旗
第3章 「JAPANESE ONLY」の暗闇
インタビュー 李鉄泰(李忠成の父)「僕らはもう戻れない。船は出ちゃったんだから」
インタビュー 姜成明(映画『TESE』監督)―今、ここに「在る」チョンテセ
第4章 バナナを食べるサッカー選手たち
第5章 サポーターは世界で闘う
著者等紹介
清義明[セイヨシアキ]
1967年生まれ。フリーライター。「サッカー批評」「フットボール批評」などに寄稿し、近年は社会問題などについての論評が多い。日本初のサッカー専門映画祭「ヨコハマ・フットボール映画祭」「東京国際フットボール映画祭」や、サポーターによるNPO組織「ハマトラ・横浜フットボールネットワーク」、東日本大震災の際にサッカーサポーターの被災地支援プロジェクト「Football saves Japan」を立ち上げるなど、独自の活動でも知られる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キク
68
スタジアムの差別主義や排他主義を、生々しく描き出している。サポーター達が語る生々しい感情と、浦和のゲートに掲げられた「JAPANESE ONLY 」という段幕や、対戦チームの黒人選手にバナナを差し出すサポーターに、辛くなって最後まで読めなかった。でも、哲学者然としたオシム監督の「スタジアムは現代の教会だ」という言葉は救いだった。「収入も生まれも、社会的地位も問われない。毎週末、サポーターは教会ではなくスタジアムに足を運び祈る。スタジアムは人々が生き延びるための支えなんだ。病み傷ついた心が救済されている」2023/09/27
こも 零細企業営業
23
愛国と差別は紙一重。 浦和の「Japanese only」と横浜FMのバナナ問題、代表の日韓戦での旭日旗、ロンドン五輪の独島等について当事者等にインタビューしてるのが面白い。 旭日旗は抗日の英雄、李舜臣と安重根を掲げられたカウンターだったのか・・アホだ。韓国人も日本人も、、、 そしてサッカーの原作地ヨーロッパの差別問題も網羅してるのも好印象。 柏サポの私にはかなり馴染みのある名前が出て来た。 イ・チュンソン。日本国籍に変えて李忠成に名前を変更したのは柏在籍中だった。アン・ヨンハも柏に居てプレーしてた。2020/01/19
garth
16
ぼくはFCコリアが「日本のアスレチック・ビルバオ」となることを期待してる部分があるんだけど、そうなったらそうなったで当然いろいろ問題が起きるんだろうなあ、とも思う。そういう問題が起きないように、小さくしておけという考え方もあるだろう(たぶんJリーグはそうなんだと思う)。でも、ぼくはその問題込みで期待してる部分があって、著者もそこに近い思いがあるんじゃないかな。はっきり書いてはいないけど。2016/07/19
チェアー
15
題名から、サッカーには構造的に排外主義がひそみやすい、という内容かと思ったら、そんな浅いものではなかった。サッカーの応援は相手チームをこきおろすことを「燃料」にするため、ナショナリズムが根付きやすい。ただ、それが排外主義に直結するとは限らない。海外には多様性を重視する「左派」サポーターが多数を占めるチームもかなりあるという。国内外のサポーターの声やレイシズムの現状、解決すべき課題に選手やチーム、サポーター組織がどう対応しているかを具体例をあげて説明しており、初めて知ることも多い有益な本でした。 2016/11/23
秋 眉雄
14
『モンスター化した「ぷちナショナリズム」』『ソウルに翻る旭日旗』『「Japanese only」の暗闇』『バナナを食べるサッカー選手たち』『サポーターは世界で闘う』『インタビュー・李鉄泰(李忠成の父)』『インタビュー・姜成明(映画『TESE』の監督)』どの章も、どのインタビューもそれだけで一冊の本になりそうなテーマです。興味深く読ませてもらいました。サッカーを見る目が変わりました。2019/01/26