内容説明
詩歌に内蔵された夢のかけら、幻視の流星群が物語世界となって立ち上がる―。物語の原点から遺作『さらば箱舟』の最期の加筆構想までを収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
6
寺山の作品には、かくれんぼというモチーフがよく登場する。著作集の2巻に収録されている、処女長編小説「あゝ、荒野」で寺山は、東京を荒野と呼ぶ。ネオンという幻で彩られた荒野に生きる若者達にとって、東京は隠れたくても隠れる場所がないに違いない。その生き辛さが、痛みとなって、読む者の胸を締め付ける。なぜならこの場合、隠れようとする子を探す鬼は、我々読者のような気がするからだ。2010/02/27
ぷほは
2
歌集『田園に死す』の「かくれんぼの鬼とかれざるまま老いて誰をさがしにくる村祭」の方で覚えていたので、知人が「かくれんぼ鬼のままにて老いたれば誰をさがしにくる村祭」と引用していたので訂正すると、映画『田園に死す』で登場するのはこちらの方であるという。そういうわけで手元で一番正確そうなシナリオ集をめくってみると、たしかに後者の方になっている。おそらく前者は「とかれざるまま老いて」が字句切れになっており、前衛短歌の匂いが残っているため、調べを重視して改変したのかも。何にせよ、まだまだこんな発見があるから面白い。2019/03/05
天来
0
平成