内容説明
戦後からアトム登場までの空白のアニメ史。
目次
第1部 黎明期戦前・戦中・戦後(京都・大阪/一九五五年;京都映画社 戦後関西アニメの出発点)
第2部 コマーシャル・アニメーションの時代(さがスタジオ 京都系アニメ界の中心地;一光社 大阪系アニメ界の原点)
第3部 東京一極集中と関西におけるアニメ制作の将来像(『鉄腕アトム』以後;京都・大阪/二一世紀)
著者等紹介
津堅信之[ツガタノブユキ]
1968年兵庫県生まれ。近畿大学農学部卒。大阪芸術大学講師、学習院大学大学院講師等を経て、京都精華大学マンガ学部アニメーション学科准教授。専門領域は日本アニメーション史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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印度 洋一郎
4
TVアニメ「鉄腕アトム」が生まれる前、日本アニメ産業の中心地である東京とは一線を画する、もう一つのアニメ生産地であった大阪や京都のアニメ制作者達の歩みを、戦前から振り返る労作。従来のアニメ史研究の中では、正に空白の分野であり、ページを捲る度に発見と驚きがある。昭和30年代のCMアニメや、「アトム」に始まるアニメブームの中で関西のアニメ制作者達が果たした役割にも目配りしており、存命の関係者への聞き取りも充実した、日本アニメ史に興味のある者には外せない一冊だ。2013/08/06
富士さん
0
津堅先生は基礎研究が軽んじられることも多いアニメ研究の中で、きちんと事実を確定するための調査をやっておられる珍しい方で、この本もそれに恥じないものです。近年の関西は関東の植民地みたいに、人材を吸い上げられ、お手軽なカット押し付け先としての側面を否定できないのではないかと思います。京アニやGoHandsみたいな例外はあくまで例外に止どまり、関東の企画製作能力は圧倒的されているのが現状でしょう。でも、それは決して必然ではなくて、関西にはアニメの長い歴史があり、決して関東集中は必然でないと教えてくれます。2012/12/12